2014年06月06日23時06分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201406062306465
米国
オバマ大統領の功績 バブル崩壊で10%に達した米失業率が今月6.3%に
米労働省によると、今月公表されたアメリカの平均失業率は6.3%となった。人によってさまざまな見方があるだろうが、朗報だろう。米労働省が公表している失業率の推移がすべてをものがたっている。
http://data.bls.gov/timeseries/LNS14000000
オバマ政権が発足したのは2009年1月である。この時は2008年秋のリーマンショックで米経済はバブル崩壊し、どん底に向っていた時だった。日本でもアメリカはもう終わりだという論者があふれた。彼らはもはや中国の時代だ、と口にしていた。
2009年1月のアメリカの失業率は7.8%、そしてバブル崩壊のインパクトはますます膨らみ、同年10月には失業率が10%と二けたに達してしまった。地域によっては20〜30%となったところもあった。こうなると町は崩壊である。特にデトロイトからニューヨークにかけてのモノづくりの町が打撃を受けていた。
しかし、オバマ政権が継続した大規模金融緩和政策(QE)によって、米経済は日本が陥ったデフレスパイラルを避けることに成功した。これは日本の悪しき先例とともに、1929年の大恐慌を研究した成果である。
オバマ大統領が再選を賭けた2012年の大統領選の際は投票のあった11月には失業率が7.8%と、8%台を切ることに成功している。「7.8%、なんだ政権発足の時の数字と同じじゃないか」と冷ややかに見る向きもあるだろうが、あのすさまじいバブル崩壊から政権発足時と同じ数字にまで失業率を戻すだけでも、どれだけ困難を伴ったことだろう。その間、オバマ政権は製造業の回帰をしぶとく訴え続け、2009年夏に崩壊間近だったデトロイトの自動車産業を救った。すでに2011年秋から米経済が復活する兆候が出始めていた。
オバマ大統領はウクライナ問題であれ、イランの核開発問題であれ、シリアの内戦であれ、状況を冷徹に見ながら戦争をできるだけ避けてきたのだと思う。戦争ぐらい経済を悪化させるものはないからだ。そんなオバマ大統領を弱腰と批判する米国内の政治勢力も少なくなかった。また一方ではノーベル平和賞を受けながら、アフガニスタンに米軍を増派したことなどで偽善者であるという批判もあった。優柔不断だと常に言われていた。ノーベル賞を返上しろ、とののしられた。オバマ大統領は右からも左からも批判を受けてきた。筆者も草の根から批判を加えた一人である。
しかしながら、オバマ大統領に対するさまざまな批判はあるだろうが、自国の失業率を減らし、どん底に落ちた米経済をコツコツ建て直してきた功績は無視できないだろう。これこそオバマ大統領が歴史に名をとどめることができる真の功績であると思う。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。