2014年06月15日12時39分掲載
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反戦・平和
砂川事件の再審請求 〜伊達判決を破棄した不公平な最高裁判決を認めない!〜 池住義憲
6月17日、砂川事件の元被告人4名は、砂川事件の確定有罪判決について免訴(裁判を打ち切るべきであったと宣言すること)を求めて東京地裁に提訴します。1959年3月30日の東京地裁伊達判決を「復権させること」がねらいです。安倍政権が集団的自衛権行使容認へをと突き進んでいる今、55年前の伊達判決を浮かびあがらせることは大きな意味を持ちます。
そのため、伊達判決を破棄して地裁に差し戻した1959年12月16日最高裁大法廷の判決が無効であり失効であることを求めて再審を請求するのです。やや難解・長文ですが、読んで広めてください。
■砂川事件とは
砂川事件とは、1957年7月、東京都立川市砂川の米空軍基地拡張の強制収用に反対する抗議行動で、市民が基地内に2〜4mほど立ち入ったとして、同年9月、20名を選んで逮捕し、安保条約に基づく刑事特別法違反(基地立入り罪)で起訴した事件です。
一年半にわたる審理の結果、東京地裁伊達秋雄裁判長は:
・「安保条約に基づき日本に駐留する米軍は、極東の安全のためにも出動するので、その結果、日本 は自国と直接関係のない紛争に巻き込まれるおそれがある。そのような米軍の駐留を許容する日本政府の行為は憲法前文の『政府の行為により再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意し』の精神に反する疑いがある」
・「そのような米軍基地への立入行為に対し軽犯罪法の立入罪よりも重い法定刑を定めている刑事特別法2条は憲法31条に違反して無効」であるとし、被告の行為は罪とならないとして無実判決(伊達判決)を言渡しました。
安保条約の調印が遅延することを恐れた政府/検察庁は異例の跳躍上告をし、最高裁大法廷は、1959年12月の無罪判決(伊達判決)を破棄し、事件を東京地裁に差戻しました。差戻後、東京地裁はこの最高裁判決の判断に拘束されると述べて罰金2,000円の有罪判決を言渡し、有罪判決が確定しました。
■ところが、近年・・・
ところが、近年、研究者によって当時の田中耕太郎最高裁長官が事件係属中に計3回も駐日米大使/主席公使と密談、裁判情報を米国側に伝えていた事実が発覚しました。これにより最高裁大法廷は、刑事被告人に公平な裁判を保障する憲法37条に違反する不公平な裁判所であったことが判明しました。
そうすると、不公平な最高裁の判断に拘束されて審理・判決した東京地裁もまた、憲法37条に違反する不公平な裁判所であったことになります。
■再審請求を決断!
差戻後の東京地裁としては、審理を続行するべきではなかったのです。不公平な最高裁大法廷判決に拘束されて審理を続行すれば、東京地裁もこれまた同様に不公平な裁判所になるからです。不公平という毒に汚染された裁判所は、国家刑罰権を行使して被告人を裁く資格はありません。
東京地裁が自ら公平な裁判所としての立場を維持するには、裁判を打ち切る以外に進むべき道はなかったのです。東京地裁は、裁判を打ち切る宣言、すなわち「免訴判決」を言い渡すべきであった(裁判を打ち切るべきであった)のです。にもかかわらず、東京地裁は最高裁大法廷判決に拘束されて有罪判決を言い渡してしまった。これは、明らかに誤審です。
砂川事件の元被告人たちはこのように判断し、差戻後の東京地裁の確定有罪判決は免訴すべきであると訴え、再審開始決定をするよう求めています。
この再審請求事件において東京地裁が再審開始決定をすれば、55年前に田中耕太郎最高裁長官の言動によって失われた司法府に対する市民の信頼を取り戻すことに繋がるでしょう。
■要請署名
現在、「伊達判決を破棄した不公平な最高裁判決を認めないため、再審開始決定を求める要請署名」を行なっています。詳細は下記へお問合せ下さい。署名は、東京地裁が再審開始の決定を出すよう要請するものです。
<署名取扱責任団体>
〒102−0085東京都千代田区六番町1 自治労会館2F
全日本自治体退職者会(自治退)気付
伊達判決を生かす会
事務局長 吉沢弘久 様
(電話:03−3262−5546)
以上
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