2014年07月03日23時15分掲載
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反戦・平和
サラエボ日記(2) 鳩を入れた箱とラテン橋
第1次大戦勃発から今年で100年。6月末、大戦のきっかけを作ったといわれる「サラエボ事件」で有名なサラエボを訪問した時の日記である。(小林恭子)
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6月27日は、まず第1次大戦から100周年をテーマにした国際会議があると聞き、タクシーで駆けつけた。タクシーなんて贅沢とも言えそうだが、遅れてはいけないし、片道、4ポンドぐらいだった(600円ぐらいか)。
非常に有意義な朝のセッションを1つ、聞いた。スピーカーの1人は昨日、私と同じ便でサラエボに着いた人だった。非常に面白いことを言っていたので、名刺を渡し、挨拶。もう1人のスピーカーは米大学の教授。挨拶しようと待っていたら、私の前にいたグループの1人が、怒ったような顔をして、輪から離れた。戦争関係の話、歴史関係の話は議論になるものなのだろう。よっぽど頭に来たのだろうな。
会議が始まる前、プログラムを見ていたら、主催者の1人から声をかけられた。「何か欲しいものがあったら、何でも言ってほしい」と。オーストリア人で、アイルランドの大学で教えている人だった。
会場から市内の中心地(「旧市街」=オールドタウン)に行こうとしたら、「トラム」がいいと会場の人に言われる。大通りに出るために歩いていたら、内戦で亡くなった人たちを追悼する記念碑があった。サラエボのあちこちにこんな記念碑があった。一人ひとりの名前が記されていた。記念碑の横にベンチがあって、仕事のあいまらしい人が早めの(?)ランチを食べていた。
トラムに乗るには駅を目指しなさいと言われて歩き出したが、車の出入りが結構激しい。ふと横を見たら、線路の上を人が歩いていた。そうか、線路の上だったら、車は来ない。(でも電車は?電車がほとんど止まっているらしいことが後で分かる。)
駅の切符売り場に行ったら、「1番のトラムに乗りなさい。切符は中で買いなさい」と言われる。外の停車場に行ったが、なかなかトラムが来ない。20分近く待ってから、トラムの線路沿いに旧市街に向かって歩いた。
歩いている途中で、サラエボ歴史博物館に出くわす。チケット代を払うとき、おなかが空いていたので「レストランは中にありますか」と聞いた。「ある」というので、中に入ってみて回ったが、レストランはなかった。相手は英語が分からず、単に「イエス」と言いたかっただけなのかもしれない。半ば「でも、ないだろうな」と思っていたので、がっかりはしなかったが。
この後、別の博物館近くでサラエボ事件が起きた場所(殺害された場所=「ラテン橋」)、暗殺者がピストルを撃った場所、大公夫妻らが乗っていた車を見た後、1990年代半ばに発生した「スレブレニツァの虐殺事件」(ボスニア・ヘルツェゴビナのスレブレニツァで1995年7月に発生した大量虐殺事件)についての情報を集めたギャラリーに行ってみた。第1次大戦どころではない。後の内戦のほうが現地の人にとっては重いのかもしれない。
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