2014年07月21日23時14分掲載  無料記事
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イスラエル/パレスチナ

ガザ・シュジャイヤ地区の虐殺の現場から 変形し、ばらばらになり、血を流し、震え、死にかけた、あらゆる無辜の人々、パレスチナ人たち

 ガザに対するイスラエルの地上戦が始まり、死傷者の数も一挙に倍増しています。土曜の晩から日曜にかけて、イスラエル軍は、ガザ市東部のシュジャイヤ地区を攻撃、多数の死傷者が出ています。メディアや医療関係者も狙い撃ちされています。現地から、私たちに向けて発信された3つの手紙を紹介します。ひとつは、ガザのアズハル大学の英文学教授、サイード・アブデルワーヘド教授のFB。もうひとつは、ガザ市のシファー病院で医療活動にあたっているノルウェーの医師、マッヅ・ギルベルトの手紙。3つ目は、エレクトロニック・インティファーダに投稿されたアブーニウマのシュジャイヤ地区に対する攻撃についてのレポートです。(京都から岡真理) 
 
 
1)サイード・アブデルワーヘド教授 
 
2014年7月20日、今日のガザ。ガザ市東部のシュジャイヤ地区は流血と砲撃の夜ののち、非戦闘員のパレスチナ人が、朝、自宅を逃げ出す。52名が死亡、350名以上が負傷と伝えられる。遺体が通りや瓦礫となった自宅の下に。救急車や消防隊は死傷者を救出しようにも地区内部に到達することができず。さらに、2名の救急救命士が殺され、18人が負傷。UNRWAは新たに避難した者たちのために複数の学校を開放。メディアや記者たちは、その報道ゆえに脅迫されている。ホテルもしくは自宅にとどまるよう命じられた。 
 
 
2)マッヅ・ギルベルト医師 
ガザからの手紙 
http://www.middleeastmonitor.com/articles/middle-east/12920-letter-from-gaza-by-a-norwegian-doctor 
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親愛なる友人諸君、 
昨夜は凄まじかった。ガザに対する「地上侵攻」がもたらしたのは、貨車何十両分もの、変形し、ばらばらになり、血を流し、震え、死にかけた――ありとあらゆる種類の怪我を負ったパレスチナ人たち、あらゆる年齢の、あらゆる市民、あらゆる無辜の人々。 
 
救急車の、そしてガザの病院すべての英雄たちは、12時間から24時間勤務で働いている。疲労と非人間的な仕事量に蒼ざめながら、彼らは治療し、負傷者を分け、さまざまな肉体の把握不能な混沌をなんとか理解しようとする、体格、四肢、歩ける者も歩けない者も、呼吸している者もしていない者も、出血している者もしていない者も、人間たちを! 
 
今、「世界でもっとも道徳的な軍隊」(ママ!)によってまたも獣のように扱われて。負傷者に対する私の尊敬の念に終わりはない。痛みと苦しみと衝撃の只中にありながら、感情を抑えた彼らの決意。[病院の]スタッフやボランティアに対する私の称賛の念に終わりはない。パレスチナ人の「ソムード」(不屈の意思)に身近に接していることが私に力を与えてくれる。とはいえ、ふとした拍子に、叫び出したくなる。誰かにしがみついて、泣いて、血まみれになった子どもの、その暖かな肌や髪の匂いを嗅いで、終わりのない抱擁の中で自分自身を護りたい――だが、そんな余裕は我々にはない、彼らにもない。 
 
灰のように蒼ざめた顔――ああ、だめだ!もうこれ以上は、何十人もの変形し、出血した者たち。救命治療室の床は依然として血の海だ。血をたっぷり吸いこんだ包帯の山から血が滴っている。そこかしこで清掃係の者たちが速やかに始末している、血や、うち棄てられた布、髪、服、カニューレ――死者が遺して行った物だ――すべてが取り除かれる……再び備えるために、最初からまた、同じことを繰り返すために。 
 
この24時間のあいだに100人以上の患者がシファー病院に運ばれた。何もかも揃った、訓練の行き届いた大病院なら問題ない。だが、ここは――ほぼ何もないのだ。電気も、水も、ディスポも、薬も、手術台も、器具も、モニターも――何もかも、昔の病院の博物館から持ってきたかのように錆びついている。だが、彼らは不平など言わない。これら英雄たちは。彼らはこれで何とかするのだ、戦士のように、向かっていくのだ、大いなる決意をもって。 
 
ベッドでこの言葉をあなたがたに書いているあいだにも、涙が止まらない。暖かいが、役に立たない、痛みと悲しみの、怒りと恐怖の涙。こんなことは起きてはいけない! 
 
すると、今まさに、イスラエルの戦争機械のオーケストラがその身の毛のよだつ交響曲を再び奏でだす、今まさに。海辺のすぐ向こうにいる海軍のボートから迫撃砲の一斉射撃、F16の唸り声、不快なドローン(アラビア語では「ゼンナーニス」、ハンマーのことだ)、そして群れなすアパッチヘリ。多くがアメリカ製か、アメリカが買い与えたものだ。 
 
オバマよ、あなたに人間の心はあるのか? 
あなたを招待しよう。私たちとともにシファー病院で一晩――たったの一晩でいい――過ごしてほしい。清掃係のふりでもして。 
私は確信している、100%、そうすれば歴史が変わると。 
誰であろうと人間の心と、そして、権力のある者は、シファー病院で一晩を過ごしたなら、パレスチナ人の殺戮に終止符を打つという決意なくして、ここを立ち去ることなどできないはずだ。 
 
だが、人間の心をもたない、無情な者たちが、自分たちの損得勘定で、またも「ダヒーヤ」(犠牲)を、すなわちガザに対する殺戮を計画したのだ。血の川が今晩も流れ続けるだろう。彼らが、その死の楽器の音合わせをしているのが私には聞こえる。 
 
どうか。あなたにできることをしてほしい。こんなことは、こんなことは、続いてはいけない。 
 
マッヅ・ギルベルト医学博士 
ノース・ノルウェー大学病院 
緊急医療クリニック 
教授・診療所長 
 
 
3)アリー・アブーニウマ 
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シュジャイヤの虐殺 
http://electronicintifada.net/blogs/ali-abunimah 
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日曜の未明、イスラエルはガザ市東部のジュジャイヤ地区を無差別砲撃、何十人もの男性、女性、子どもたちが殺された。 
 
約60もの遺体がすでに、家やアパートのビルの瓦礫の中から運ばれ、負傷者は多数、200名を超えると、パレスチナ保健省の報道官、アシュラフ・アル=キドラ博士は地元メディアに語った。 
 
だが、実際の死者数はもっと多いはずだ。国際赤十字委員会は、負傷者の救出と遺体の搬送のため、2時間の「人道的休戦」を整えた。 
 
今回の、ガザに対するイスラエルの爆撃による集団殺戮で、420名以上のパレスチナ人が殺され、今、攻撃は第2週目に入った。3000人以上が負傷し、何万人もの人々が自宅から逃げ出し、うち大勢が国連が運営する学校に避難をしている。 
 
ガザという小さな土地に180万の人間が暮らす。イスラエルの陸、海、空による攻撃から安全な場所などどこにもない。エジプトの軍事独裁政権は、イスラエルと緊密な同盟を結び、ラファ検問所を封鎖している。 
 
攻撃現場の目撃証言 
イスラエルの攻撃が一時停止したとき、シュジャイヤ地区に入ったジャーナリストたちが、その光景をツイートしている。ガザ市のシファー病院の中から、あるいはその近くから、写真をツイートしている者もいる。 


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