2014年08月15日14時58分掲載  無料記事
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コラム

日本で2番目に幸せな町 鬼塚忠

  夏は、お盆を利用して、日本で2番目に幸せな町に帰省した。  どこでもない、私が生まれてから大学まで過ごした鹿児島だ。  2番目といっても嘘を言っているわけではない。 
 
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/08/20140811.pdf 
  博報堂と慶応大学が共同で調査した「地域しあわせ風土調査」なる指標だ。1位が沖縄県、2位が鹿児島県、熊本県、宮崎県と続き、5位が東京都である。 
 
  だよな、鹿児島県民は幸福だ、と思う反面、 
  実はそうでもないとも思う。 
 
  まずはそうであると思うところ。 
 
  1)おおらかで細かなことは気にしない。 
  2)社会人でも時間が多くある。 
  3)呑みながら話すのが好き。 
  4)お金があまり必要ない。 
  5)すぐに自然に触れられる 
  6)音楽に囲まれた生活 
 
  そうは思わないところ。 
 
  1)人口が170万しかなく大きなビジネスが出来ない。 
  2)仲間意識が強く、干渉されがち 
  3)横並び意識が強い 
  4)新しい友達が出来にくい 
 
  などなど、いい点と悪い点、挙げればきりがない。 
 
  しかし、なぜ私は日本で2番目に幸せなところから、 
  5番目に幸せなところに移ったのだろうか、と考えた。 
 
  実は私は大学を卒業し、鹿児島を出てからも、 
  将来的に住むことも考えて、ロンドン、テルアビブ、シドニーに1年以上滞在した。 
 
  しかしやっぱり住むには東京がいいと思った。 
  それは、面白い仕事をするのに一番適しているからだ。 
  自分の力をめいっぱい発揮できるだろうと思った。 
 
  まず、言葉で仕事をするだろうな、という予感があったので、日本に住むべきだと実感した。鹿児島では思う存分、自分の力を発揮できない気がした。鹿児島で、言葉で生業を立てるというのはほぼ不可能。新聞記者以外成立しない。また、人と違ったことをすれば「どうせ無理」という雰囲気に流される。 
 
  他はどうだろうか? 
  シドニーは最もQOL(生活の質)が高いところ。広い国土に適度な都市。豊かな自然。適度な物価。 
  ロンドンは、私の英語がnativeであれば面白い仕事ができると思わせるところ。世界中から面白い人が集まっている。 
しかしおおむね低い給与に高い物価、とても住みにくい。それに寒すぎる。夏がない。 
  テルアビブは、人間をもっとも考えさせらるところ。なぜ私は生まれたのか?私はこの人生の中で何をすべきか?をよく考えた。 
こういう機会は日本人にはほとんどない。ユダヤ人は驚くほど働き、勉強し、議論する。そして町は美しいし、治安はいい(たまに戦争はあるが)。 
 
  ざっくり言うと、そんな理由で東京(実際には千葉都民と言われる浦安)に住んでいるわけだが、最近、仕事をすべて終え、70歳くらいになったら故郷へ帰ろうか、くらいに思っている。 
 
  そういう理屈ではない何かが私の心を動かそうとしているのだ。 
 
鬼塚忠  (作家・出版エージェント) 
「アップルシード・エージェンシー」代表 
http://www.appleseed.co.jp/ 


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