2014年08月18日08時29分掲載
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安倍政権を検証する
「武器開発 英仏を念頭」
7月14日の朝刊で朝日新聞は安倍政権の中国包囲網と同時に日本の武器開発について触れていた。
「武器輸出三原則の撤廃で、他国との武器の共同開発が可能になった。自衛隊の関係者は「今後の兵器は国際開発が主流。英仏との協力は欠かせない」と話す。仏は中国やロシアへの武器輸出に意欲を示してきた。日仏の関係の強化は中ロへの牽制にもなると、政府は計算している」
こう書かれている。短くシンプルで、さらっと耳を通り過ぎてしまいそうなのは官僚の発表を右から左に伝えているからではなかろうか。
中国やロシアに武器を輸出しようとするフランスと兵器の共同開発をすることで「中ロへの牽制にもなる」と政府が考える根拠はどこにあるのだろう。むしろ、日本製が仮想敵国である日本に向けて配備される可能性はないのだろうか。その場合、兵器産業は自衛隊向けと、フランス向けで二度にわたって兵器の販売が可能となる。つまり、東アジアで緊張が高まれば高まるほど、軍拡競争が強まれば強まるほど、日本の兵器産業に莫大な利益が入ることになる。これがつまり、国際社会の「自由と民主主義」を掲げたヒューマニズムと積極的平和主義の実像である。
新聞紙面の表面では欧米国がどのような民主主義を唱えていようと、裏では兵器と金の流れが滔々と続いてきた。英国もフランスも、自由と民主主義、そして博愛を訴えているのだが、その裏でさんざん手を汚している。兵器と金の動きを基盤に世界地図を書くと、表層とはまるで違った勢力図が描けるのである。安倍政権がこの春行った武器輸出三原則の撤廃は、日本がそうした汚れた国に胸を張って仲間入りを果たすことに他ならない。
以下は英仏両国がリビア制裁でどれだけ儲かったかを示す記事である。リビアへの兵器販売と同時に、リビア攻撃のための兵器販売の二度おいしい取引である。兵器産業はヘッジファンドのように、利潤の前に国境はない。
■欧州のリビア向け武器輸出額データ〜「カダフィ大佐に武器を与えたのは誰?」〜英ガーディアン紙から〜
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今回、三菱重工が武器輸出三原則が撤廃されたことで米国にミサイルの部品を販売することに決定したという。しかし、ミサイルを製造している米企業は米国防省に納めるのではなく、カタールに販売する予定だと言う。つまり、日本の防衛産業の商品が世界の武器庫である中東のカタールに流れていくことになる。このカタールは欧州の報道ではイスラム原理主義を推進しているとされる。リビアのカダフィ政権をつぶした時もカタールの秘密部隊がリビアに侵入し、カダフィ側近を拷問したり処刑したりしていたと報道されている。そして、そのアラブの春の余波はシリアを見ても分かる通り全く終息していない。こうした地域に日本製の兵器部品がとうとう納められる日がやってきた。
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