2014年08月18日17時49分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】モロッコと西サハラ、国連でバトル 平田伊都子
9月に入ると、毎年一回開催される国連通常総会がニューヨーク国連本部であります。 原則として9月の第3火曜から開かれますから、2014年は9月16日が開始予定日になっています。 今年も国連が解決できない問題が山積みになっています。 ガザ戦争、シリア戦争、ウクライナ紛争、エボラ出血熱、、国連が唾をつけたのにホッタラカシにしたままです。 なかでも西サハラ紛争は国連が関与してから38年、国連西サハラ住民投票を約束して23年にもなります。 しかし、国連自らが創設したMINURSO国連西サハラ住民投票監視団を未だに作動することができずにいます。 国連総会より一足早く、西サハラとモロッコの両当事者が、国連を舞台に外交闘争の火花を散らせています。
(1)2014年7月25日、モロッコ国連大使オマル・ヒラルは、「ニューヨーク(国連)もアルジェ(アルジェリア政府)もティンドウフ(西サハラ難民政府)も、サハラ問題を解決することなどできない。なぜなら、サハラはモロッコ統治下にあり、サハラ問題はモロッコ国内問題にすぎないことを認識していないからだ。特にアルジェリア政府はモロッコ・サハラから手を引き、モロッコとの友好関係を修復すべきだ」と、MAP(モロッコの通信社)に語った。
(2)7月 30日、アルジェリア外相ラムタネ・ラマムラはモロッコの挑発を受けて、「アルジェリアは西サハラ人民の民族自決権を変わらず支持する。国際社会と西サハラ人民が否定するような解決策を提案すべきではない。西サハラ人民の民族自決権を行使することが、北アフリカ地域の安定とモロッコ・アルジェリア両国の関係改善をもたらすものと、アルジェリアは信じている」と、エンナハールTVのインタヴューで答えた。
(3)8月12日、モロッコ国連大使オマル・ヒラルは、「モロッコ王国は、国連事務所に対して、MINURSO国連西サハラ住民投票監視団が我々の承認した作業を変えることを強く拒絶する。少しでも違う動きを見せたら、関係諸団体の緊張感は高まり、信頼感が崩れ、ひいてはMINURSOの存在自体が危うくなる」と、ニューヨークでMAPを通じて警告を発した。さらに、「ロス国連事務総長個人特使が辞任するとの噂を国連職員が流し、モロッコに対してある種の圧力をかけようとしているが、そんな噂にモロッコは聞く耳をもたない。政治交渉で大事なのは人事ではなく、事象なのだ。モロッコ王国は、あくまでもサハラに関して、モロッコ統治下での地方自治州計画を礎に、関係諸国と諸機関が納得できるような解決を目指す」と、国連に釘をさした。
(4)2014年8月14日、西サハラ難民政府のアハマド・ブハリ国連代表はモロッコ王国の国連脅迫発言に反論して、「モロッコ国連大使はとんでもない命令を国連事務総長に突き付けた。彼によると、MINURSO国連西サハラ住民投票監視団の役目は停戦監視と地雷暴発削減と家族相互訪問のみと限定し、よけいなことをするなと国連を脅している」と、国連で声明を出した。さらにブハリは、「MINURSO国連西サハラ住民投票監視団の役目は、なによりもまず、西サハラの脱植民地化完結のために、住民投票を組織することにある。我々西サハラ人民は、モロッコに、モロッコ王自身が1991年に国連が提案した国連西サハラ住民投票を受け入れたことを、そして、MINURSOの設置を認めたことを思い出させてやりたい」と、モロッコが国連の和平交渉に応じないことを明確にし、モロッコが現在に至るまで西サハラを国際法に反し、植民地支配していることを非難した。
国連総会には日本の安部晋三内閣総理大臣も参加され、演説されるそうです。 国連安保理常任理事国の席を目指す安部総理はどんな演説をされるのでしょうね?
外務省が<国連安全保障理事会と日本>という題のパンフレットを出しています。 興味のある方は外務省総合外交政策局国連政策課に申し込んでみませんか?
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2014年8月18日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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