2014年08月21日07時14分掲載  無料記事
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反戦・平和

斬首した英国出身の聖戦主義者 英国紙で身元調査が始まる

  イラクでフリージャーナリスト、ジェームズ・フォーレイ氏がISIS(ISIL)の聖戦主義者に首を切られて殺され、youtubeでその映像とメッセージが公開されてから、聖戦主義者の出身地とされる英国で大きな反響が広まっている。 
 
  英国紙では男の通称は’ジョン’で、とらわれた欧米人からは「Beatle」と呼ばれていたと報じられている。キャメロン首相がこの事件に怒りを込めて言及したことから、ロンドンで様々な憶測が広がっており、イーストエンド出身で、高等教育を受けたイスラム教徒という観測記事も出ている。 
 
  ジャーナリストの斬首は許すことができないが、この聖戦主義者も恐らくは欧米による「テロとの戦い」を生き抜くことはできないだろう。忘れてはならないのはイラクをこのような地に変えてしまったきっかけを作ったのはブッシュ大統領を頂いていた米国とブレア首相を頂いていた英国である。2003年に大量破壊兵器を始末すべく、サダム・フセイン政権を転覆させたことが今日の混乱の原因となっている。 
 
  ジェームズ・フォーレイ氏の場合はジャーナリストということもあり、その死もジャーナリズムでは正当に扱われているが、イラク戦争とその後のテロに巻き込まれて亡くなった地元の人々はその顔はおろか正確な死者の人数すら不明である。少なくとも数十万人と言えるのがせいぜいだ。なにしろ国家が崩壊したのだから。こうしたことからたまった憎しみが1人のジャーナリストに向けられる結果となった。 
 
  東洋には漢方薬という処方があり、即効性はないが、少しずつ体質を改善することで知られている。人間も自然の中の存在であり、漢方薬は自然のサイクルを重んじている。その考え方はアフガニスタンで井戸や灌漑施設を作っている中村哲医師の行動にも重なる。目には目を、武器には武器をで対抗している限り、殺し合いはエスカレートする一方である。イラク戦争から10年が経過した今、もはや今までの治療法を変えるべき時に来ている。そして、アジアの国である日本はアメリカの部下として中東に兵力を派遣することではなく、イスラム教国とキリスト教国の仲裁をすることに傾注する方がより存在感を持ちえるのであり、世界の平和にも貢献できるのであるから、戦争の1プレイヤーには断じてなるべきではない。日本人の誇りと矜持もそこにかかってくるだろう。 


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