2014年09月17日23時21分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】『朝日』は謝罪の必要なし 吉田元所長調書について
吉田元所長は調書で「私は本店に対しても、こいつら、ぼけかと思っていたんですが(*1)」「斑目も、名乗らないんだよ、あのオヤジはですね。声から、何かばーっと言っているわけですよ、喚き散らしてですね(*2)」と発言しており、菅元首相にだけ怒りを向けているのではない。本店や規制当局への吉田元所長の不満の部分を隠蔽して、菅元首相との対立だけを伝える政府系マスコミや業界紙こそ「誤報」である。(上岡直見)
『朝日』で「吉田元所長の命令に反して第2原発に撤退」としたのは、吉田調書「事故時の状況とその対応について 4」(*3)の部分であるが、『朝日』の記事は誤報とはいえない。所長の意図が伝わらず、実際に関係者が第2原発にバスで退避してしまった事実は変わらない。これは緊急時の指示・命令体系ができていなかったことを示す事実であって、東電の何の自慢にもならない。
「撤退」とは言っていない、「退避」だ、などという説明は、戦時中に意図的に負けたわけではないから「退却ではなく転進」と言っているのと同じだ。
指示の混乱は異常時には常に起きる。沖縄戦における住民集団自決も同様である。軍は命令していないという見解がある一方で、当時の状況から住民側は、現実に命令と解釈したから実行した。朝日は謝罪する必要はない。
(*1)http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf p.8
(*2)http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/077_1_4_koukai.pdf p.47
(*3)http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/077_1_4_koukai.pdf p.56
上岡直見 環境経済研究所(技術士事務所)
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