2014年09月21日22時25分掲載
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中国
香港学生連盟、民主的な選挙を求めて授業ボイコット呼びかけ
香港では、2017年の行政長官選挙をめぐり、有権者の1%の推薦で誰でも立候補できるなど、より民主的な選挙制度を求める香港市民の民主化運動が続いています。法律解釈権を持つ中国の全人代常務委員会は、中国政府の影響力がつよい選挙委員会が選んだ候補者2〜3人から香港市民が投票で決めるという「中国の特色ある民主選挙」を押し付けたことに香港の民主派は反発しています。大学や専門学校の学生組織で構成される香港学生連盟は明日9月22日からの新学期開始に合わせて、一週間の授業ボイコット運動を呼びかけ、香港政府および中国政府への譲歩を迫っています。香港の独立ウェブメディア「香港独立媒体」の記事を超訳しました。(翻訳 稲垣豊)
原文はこちらです。
http://www.inmediahk.net/1026265
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24の大学と専門学校で授業ボイコットへ
民主主義のための代償はよろこんで引き受ける
2014年9月18日 梁嘉瑜
【独立媒体特約報道】香港学生連盟は来週月曜日(9月22日)から24の大学と専門学校で一週間の授業ボイコットを宣言し、香港政府と中国政府に対して「香港人と香港の学生は民主主義をかちとるための代償はよろこんで引き受ける」ことを示す。ボイコットの期間には市民講座、上映会、フォーラムなどが行われ、「授業はボイコットだが、学びは止めず」の意思を示す。学生連盟事務局長の周永康によると、代償なしには民主主義をかちとることができないことが明らかになったいま、学生運動が道徳的な呼びかけをおこなうことで、各界が団結して、不服従の力で全人代[日本の国会にあたる:訳注]常務委員会の政治改革についての決定を覆すことを目指している。しかし現時点で警察および文化体育署は事務的な理由だとしていまだ集会の申請を許可していない。周事務局長は、警察が妨害をやめなければ抗議行動はさらに大きくなるだけだと訴えている。
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授業ボイコットによる抵抗を甘く見る権力
知識の広場は社会に思索をよびかける
授業ボイコットによって、市民の立候補権の確立、議会における職能別議席の廃止、全人代決議の撤回、梁振英[現香港行政長官]と政治改革三人組の引責辞任の要求を原則として、民主化を実現することを目標としている。
授業ボイコットの初日は午後二時から中文大学の百万大道[同大学中庭の名称:訳注]で集会がひらかれる。そこは一万人の学生の収容が可能だ。学生連盟によると、これまでの学生運動もこの場所で大きな集会がもたれてきたので、ここには特別の歴史的意義がある。集会後には、学内の百万大道、本部文化広場、新亜図形広場の三か所で「市民講座」が予定されている。夜には百万大道で台湾学生運動ドキュメンタリー『市民的不服従』が上映される。
その後4日間、学生連盟は添馬公園、立法会、公民広場で毎日10時から夜12時まで集会を行い、70余名の学者らによる講座が行われる。初日のテーマは香港の民主主義の発展を探る「民主回帰VS香港自主――世代を超えた対談」、二日目および三日目は香港・中国問題「城邦(ポリス)運動と階級闘争」(※)、「中国と香港の矛盾と香港の進路」がテーマとなる。最終日は「香港未来、命運自主」がテーマである。多くの市民団体もブースをだし参加者と議論を行う。コンサートやパフォーマンスなども行われる。周永康事務局長は、市民参加を歓迎し、集会を知識の広場に変え、社会各界各階層に授業ボイコットと民主化の必要性を訴えたいという。
学生連盟によると、このような市民講座に興味がない人も、街頭デモや母校の中学で宣伝を行うなどを歓迎するとしている。周永康は「集会は民主化を訴えるひとつの方式にすぎません」と語り、アクティブ・アートやその他の方法でも授業ボイコットの行動になるとしている。
「もし集会を許可しないなら抗議行動はさらに盛り上がる」と学生連盟
学生連盟はこの2週間なんども警察と文化体育署にそれぞれ集会申請と借地申請を出しているが、いまだに許可されていない。文化体育署は集会が車両の出入りを妨げ、業務に支障が出ることを理由に拒否していたが、その後、多くの条件(安全面、保険加入、時間規制)を付けて、三日間に限り活動を認めた。学生連盟によると、[商業ベースのイベントでは]一般的には当たり前かもしれないが、学生運動の集会に対してこのような条件を付けるのは妨害としか言いようがない。
また警察もいやがらせで妨害している。例えば「申請した集会には毎時毎分5000人が参加するのか?」などの指摘しているが、それと集会許可との関係は不明である。
学生連盟事務局次長の岑敖暉は、市民集会は「香港基本法」にもある権利で、申請が許可されければ、政府が香港市民を信用せず、また法律も無視していることになると批判し、政府と警察のいやがらせが続くのであれば、ストライキ、商店閉鎖など他の業界との連携で市民的不服従の対抗措置を取らざるを得なくなると述べている。学生連盟は民間人権陣線[民主化運動の共闘組織:訳注]に申請を委託したが、いまだ許可は下りていない。
行政長官らの責任を問う
周永康によると、もし授業ボイコットによる四大要求への回答が得られないのであれば、抗議行動は、授業ボイコットを延長してさらなる段階に進むことになると指摘する。学生連盟は、香港行政長官の梁振英、および政治改革三人組の鄭月娥、袁國強、譚志源[それぞれ香港政庁の政務、法務、中国事務の高官:訳注]を集会に招いて、政府の政治改革報告書の問題を指摘し、市民に信を問い、改善方法の提示を求めるとしている。周は、これらの政治家が要求を無視するようであれば、さらなる不服従運動で圧力をかけるとしている。
建制派[いわゆる親中派:訳注]は学生の立場を、強硬でコミュニケーションができないと批判している。岑敖暉は「1982〜83年の『中英共同声明』からすでに30年もたつというのに、2014年8月31日の民主的政治改革の失敗[全人代決議を指す:訳注]しか手にできないのです」と反論し、だからこそ絶対に譲歩することはできないという。
学生運動を恐れる中国政府
学生の反応は上々
中国政府は授業ボイコットを無視しているという意見もあるが、岑敖暉は逆に中国政府はかなりこの問題を重視し、緊張した対応を取っているとみる。だから周融、李国章、黄均瑜[それぞれ著名なTV司会者、元中文大学学長、教育者協会会長で親中派:訳注]らが授業ボイコットを批判し、学生連盟や学民思潮[他の学生組織]にレッテルをはるために登場したのだという。1919年の五四運動、1968年のフランス学生運動、1989年の北京民主化運動でも、学生は社会に多大な影響を与えたし、だからこそそれを恐れて弾圧もされた。
岑敖暉によると現時点ではどのくらいの参加者があるかはわからないという。しかし各大学や専門学校での学生の反応は積極的だという。たとえば学長が「秘密共産党員」であることを公言している大学でも、そこの学生たちはボイコット運動に積極的で、すでに600人が授業ボイコットに参加することを表明しているという。また香港大学、中文大学の医学部や看護学部などでも「政治改革チーム」が結成され、全人代の決定が香港の学生や市民の怒りに火をつけた形となっている。
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