2014年10月03日09時59分掲載
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農と食
カリフォルニア米のインパクト
近くのスーパーのコメのコーナーには5kg入りのパックや3キロ入りの小ぶりなパックなどいくつか規格があります。中でも最もインパクトがあったのはデフレの今の時代、カリフォルニア米の5kg=999円の値札でした。なんと1000円を切っているんです。
それに対して日本のコメは山形産や茨城産などいろいろありますが、5kg=1600円台から2300円台などなど、カリフォルニア米に比べて価格だけ見ると高い、と思ってしまいます。とはいえ日本人として、日本の農業を応援しないと・・・そんな思いがあり、そこでちょっと心の葛藤が正直ありました。僕は日本のコメを買いましたが、将来もずっと日本のコメを買い続けることができるだろうか・・・いささかの心もとなさがあったことも嘘ではありません。
今、日本のコメ作りを効率化せよ、大規模化せよ、甘えを捨てさせろ、という声が高まっています。でも、その努力をしたとしてもカリフォルニア米999円に価格的にかなうのだろうか。どんな理屈であってもそれを実現する人が日本にいなくなってしまっては絵に描いた餅に過ぎません。カリフォルニア米だけでなく、世界にはタイ産やアフリカ産、ベトナム産、インド産などもあります。これらの国々の労働の人件費は日本と比較にならないくらい安いです。ですから、どんなに日本の農民が大規模化、効率化をはかったとしても、関税が撤廃されて価格の自由競争になったら陥落する可能性は高いと思います。そのことはアベノミクスで円をばらまいても、日本の工場が国内回帰しなかったばかりか、さらに空洞化が進んでいたことと同じではないのでしょうか。日本の工場は世界的にも優秀でしたし、効率化も必死で行ってきたはずです。それでも空洞化が進んでしまったのです。
世界には〜コメ作りの可能なアフリカからアジアにかけて〜1日二ドル(およそ200円)以下の収入で生活している人が莫大にいるのです。そしてアフリカで収穫量が多い日本のジャポニカと乾燥に強い現地産の稲を混交した画期的な品種ネリカが生まれたように(シェラレオネの学者が自ら開発したのです)、稲の品種改良も行われていて、今後様々な土地に適したコメが増えて行く可能性があると思います。
TPPのことが議論されていますが、すでにスーパーには外国産の激安のコメが一部ながら入ってきていて、それは大きなインパクトを日本の消費者に与えているのではないか、と思います。それらはじわじわTPPが調印されたら、主食のお米がかなり安くなりそう〜、という印象を与えていると思います。その意味ではもう始まっていると言っても過言ではありません。
■1日1.25ドル=約125円の収入で暮らしている人の分布
(環境さえ整えば米作りの予備軍とも考えられる)
http://data.worldbank.org/topic/poverty
■パリのスーパーの米 超簡単<米1・水2・10分間> 炊飯器無用 村上良太
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■グローバル時代の「ルイスの転換点」 〜アベノミクスの弱点〜
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