2014年10月14日14時55分掲載
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社会
知的・精神障害者の犯罪は健常者の四分の一 無理解とマスコミが作り出す間違い
今年9月に発生した神戸女児遺棄事件で、知的障害を持つ男性が逮捕された。報道されている容疑者の男性の行動をみると、アルコール依存症などの精神障害も疑われる。私は、障害者に関わる仕事をしていて、知的・精神障害と犯罪を結び付けたような意見を言われたことが何度かある。2チャンネルなどのインターネット掲示板にも、知的障害者や精神障害者を犯罪予備群と見なす書きこみが多くみられる。それは、本当なのであろうか?(能村哲郎)
現在、日本で公的に認定された知的障害者と精神障害者は374.8万人、全人口に占める割合は2.9%である(*1)。疑いのある者も含めると600万人以上とされ、全人口に占める割合は5%以上である(*2)。
法務省の統計によると、知的障害者と精神障害者およびその疑いのある者の検挙人員は3406人、全検挙者に占める割合は1.2%である(*3)。当然この検挙人数の中には、心身喪失等により不起訴や無罪になった者(障害の程度が重く罪に問えない者)も含まれる。人口比率との比較だと、犯罪を犯すリスクは、健常者の1/4程度であるといえる。
では、なぜ、知的障害者や精神障害者を犯罪予備群と見なす考えが起こるのであろうか?
障害に対する理解不足や「知的障害がある○○容疑者」「精神科の通院履歴のある××容疑者」というマスコミの表現が一因であるとの指摘が、専門家よりなされている(*4)。
知的障害者や精神障害者を犯罪予備軍と見なすのは、間違いであると言える。
*参考文献
(*1)内閣府:平成25年版障害者白書 2013年6月
(*2)厚生労働省:平成24年度精神保健福祉資料冊子体 2014年7月
(*3)法務省:平成25年版犯罪白書 2013年12月
(*4)立命館大学共生社会研究センター:報道と精神障害を考えるシンポジウム 2010年1月
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