2014年11月02日14時19分掲載
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社会
ニートは自己責任なのか？
ニートは、「働かず家に引きこもり、ダラダラとPCをしている、やる気のない人」というイメージで語られることが多い。そのため、ニート問題を本人の問題（自己責任）として捉える人も少なくない。それは、正しいのであろうか？統計データを基に検証してみたい。（能村哲郎）
■そもそもニートとは？
ニートとは、「15〜34 歳の非労働力人口（仕事も求職もしてない人口）のうち家事も通学もしていない者」をさす。政府では、ニートを「若年無業者」として、「労働力調査」で人数を調査している。総務省の「労働力調査（基本集計）平成25年平均（速報）結果」によると、若者無業者の数は、60万人であった。この人数は、統計を取り始めた平成14年（64万人）からほぼ変わりがないものの、若年人口の減少により15〜34歳の年齢階級における割合は1.9％から2.2%に増加している。
なおニートは、就業希望だが求職していない人（就業希望型、H24年で28万人）と、就業を希望せず求職もしていない人（非就業希望、H24年で33万人）に分けられる。非就業希望型では、引きこもることが多く、ニートの状態が長い期間継続する傾向が強い。就業希望型も非就業希望型もニートの存在は、家庭の外からは見えにくく本人も相談しにくいことから、何か問題が起こると深刻化しやすいと言われる。
■ニートは求職しないのか？
なぜ、ニートは求職すらしないのであろうか、総務省の「就業構造基本調査」を基にみてみたい。
就業希望型でも非就業希望型でも、一番多く（就業希望型26.5%、非就業希望型29.7%）の人が「病気・けが」を理由としてあげている。「介護・看護」や「出産・育児」も、就業希望型で3.2%、非就業希望型で1.8%が理由として上げている。このことから、3割程度のニートが、仕方なく求職できない実態が見える。
就業希望型では、「探したが見つからなかった（11.0%）」「知識・能力に自信がない（10.5％）」「希望する仕事がありそうにない(6.2%)」を理由としてあげ、1/4の就業希望型のニートが、就業への希望はあっても、求職活動を起こせていないことが伺える。ニートでは、高等教育卒業者が29.3%と同年代(6割程度)と比較して低く中卒も多いことから、「求人の少なさ」や「希望する職種で必要な資格を取得できていない」などが原因として考えられている。適切な支援（仕事のマッチングや資格取得援助、就学援助）などで、求職できる可能性が高いと言える。就業希望型の中には、「進学や資格取得の勉強（12.3%）」と、前向きな理由のニートもいるが少数である。
また、「その他」や「理由はない」と、就職希望型24.0%、非就職型の43.6％が答えている。この中には、「発達障害で対人関係で失敗した」や「病気やケガでニートとなり、治癒しても就職に対する意欲が持てない」、「何度も就職で失敗し働くことが怖い」などの、福祉的な支援や精神的な支援を必要とする場合が少なくない。
■まとめ
このことから、ニート問題は、本人の問題だけではないと言える。ニートは、貧困などの経済問題や、社会との接点が絶たれるなどの社会的孤立の問題を抱えがちである。「地域若者サポートステーション事業」など様々な支援策が講じられているが、まだまだ行き届いているとは言い難い。支援策の拡充が求められる。
■参考資料
・総務省統計局「労働力調査（基本集計）平成25年平均（速報）結果」2014年1月
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/index.htm
・総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」2012年7月
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/
・労働政策研究・研修機構 「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状�◆�2014年9月
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2014/144.htm
・厚生労働省 「地域若者サポートステーションってなに？」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/ys-station/
・ニートサポートネット
http://www.neet-support.net/
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