2015年02月14日14時00分掲載  無料記事
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国際

【北沢洋子の世界の底流】アルゼンチンのはげたかファンド 「経済的テロリズムではないのか」

 昨年10月3日、国連総会で、アルゼンチンのクリスチン・キルチネル・フェルナンデス大統領は、同国を襲った、はげたかファンドを攻撃する演説を行った。フェルナンデス大統領は、静かな声だが、毅然として、「貴方たちは、イスラム国を攻撃する有志連合を結成しているが、事実は、その連合こそイスラム国の味方ではないか」と話始めた。このようなフランクな言葉は、最近の国連では聞かれなかったので、出席者はみな驚いた。彼女は続けて、西側の金融制度を「経済的テロリズム」と呼んだ。 
 
 それは、ニューヨークの連邦地方裁判所で、トーマス・グリエサ判事が、原告であるはげたかファンドの協会である「国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)」の言い分を認め、「アルゼンチン政府は国債を100%償還しろ」という判決を下した。これは、金額にすると15億ドルに上る。一方、アルゼンチン国債の投資者の93%は、すでにフル・レートの20%の償還に合意している。 
 
 ISFAの筆頭ファンドは、ポール・シンガーの「エリオット・マネジメント・ファンド」ある。彼は、1977年、140万ドルの出資金でエリオット・マネジメントを設立し、今日210億ドルの資産を持つ有力なファンドになった。『フォーブス』は「彼自身の資産は19億ドル」と報じている。アルゼンチンの前に、コンゴ、ペルーなどでアルゼンチンと同様に儲けた。いずれも、債務返済が不可能になった国の債権をタダ同様で買い、米欧の裁判所に訴えて、100%の償還を獲得してきた。このような貧しい国から不当に返済を搾り取るところから「はげたかファンド」と呼ばれる。 
 
 グリエサ判事の判決によって、シンガーは、約1,000%の儲けとなる。なぜなら、彼は、紙切れ同様になったアルゼンチン国債をタダ同然で買い取り、額面どおりの金額で返してもらうことになった。 
 
 フェルナンデス大統領は、単に、アルゼンチンのことを言っただけではない。彼女は、現在進行中のIMF、ウオール街の経済的、金融的テロリズムの犠牲になっている、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアを代表して語った。 
 
 しかし、犠牲になったのはこれら南の国々だけではない。ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペイン、そしてウクライナなどヨーロッパの国々が犠牲になっている。このテロリズムは人びとの社会的セイフティ・ネット、年金、雇用、住居、教育、医療衛生、水を奪っている。 
 
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国際問題評論家 
Yoko Kitazawa 
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/ 


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