2015年02月16日22時19分掲載
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コラム
クアシ兄弟の身元が割れた身分証はどこで?
Charlie Hebdo襲撃犯のクアシ兄弟の身元がいつどういう形で警察につきとめられたのか?フランス・テレビの情報によると、兄弟が襲撃の後に逃走して19区に逃げ込んで止めた車の中に兄サイード氏の身分証が残されていた、と警察は発表している。以下は「いかに警察はクアシ兄弟の身元をつきとめたか」と題する記事である。この中にクアシ兄弟の兄の身分証が車の中に残されており、それが身柄をつきとめる決め手となったと書かれている。
http://www.francetvinfo.fr/faits-divers/attaque-au-siege-de-charlie-hebdo/charlie-hebdo-comment-les-policiers-ont-remonte-la-piste-des-freres-kouachi_791177.html
こちらはフランスのエコー誌のサイトである。エコーの記事も同様で、クアシ兄弟の犯したミスを指摘しつつ、逃走に使ったシトロエンの中に残されていたクアシ兄弟の兄の身分証によって、警察は過去にイスラム過激派の容疑で逮捕歴のある人物であることを特定したとされる。
http://www.lesechos.fr/politique-societe/societe/0204069680040-ces-erreurs-surprenantes-des-terroristes-qui-ont-servi-le-travail-des-enqueteurs-1081858.php#
こちらは毎日新聞である。襲撃後の逃走に使って乗り捨てた車に兄の身分証が残されており、それが手掛かりとなったと伝えている。兄弟が逃走中に自動車事故を起こして慌てていたらしいことも書き足している。
http://mainichi.jp/select/news/20150115k0000m030097000c.html
「アラブの眼」はCharlie Hebdoの事務所に兄弟の身分証が残されていたことをもって、2001年9月11日の同時多発テロとの関連性を指摘しているのだが(ヨルダン人の文章を基にして)、その前にまず事実を正確に伝えるべきではないか。もし、事務所に兄弟の身分証があったのであれば是非その情報の出典を教えていただきたいものである。筆者は何も、「アラブの眼」の推論を否定したいわけではないが、そのような世間を揺るがす見方を提示するのであれば事実関係を押さえた方がよいのではないか、と思うのだ。
「アラブの眼」は2001年9月11日のNYの同時多発テロの時、警察が倒壊したビルの現場でイスラム過激派テロリストでビルに突入した飛行機を操縦していたモハメド・アタの身分証が倒壊現場に落ちていたことを怪しいとしているが、これも事実なのか?事実ならこれも出典を挙げて欲しいものだ。そして、できれば権威あるサウジアラビアの新聞(ロンドンで発行)に掲載されたヨルダン人のテキストも読んでみたいものである。「アラブの眼」のねらいのように、アラブ世界でどのような物事の解釈が行われており、西欧社会とどう違っているのかをよく理解できる鍵となると思うからだ。
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