2015年02月18日10時19分掲載
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人類の当面する基本問題
欧米文明からの決別−あるアメリカ論客の指摘 落合栄一郎
人類の現在の存続危機は欧米文明に基づいていて、それを脱しなければ、持続可能な文明には達し得ないことは、小著「病む現代文明を超えて持続可能な文明へ」(本の泉社、2013)で述べた。これは直接的にはそのようには記述していないが、そのような意図であることはご覧いただければ納得されるものと思う。
さて、イスラム国問題、ウクライナ問題、中東問題、そして経済の基本的問題─富の1%への集中と経済格差の増大などなど、人類は非常に難しい問題に直面しており、しかも核兵器使用の可能性、原発の増加/継続などによる地球存続の危機が現実問題化しつつある。これらの問題の根本的解決の道はあるのだろうか。
それが、欧米文明からの脱却であると、欧米人の論客(Herbert Salit)が明確に指摘した(*)。その要旨を紹介する。彼によれば:
(1)現在のほとんど全ての問題は米帝国およびその他の西欧諸国の文化・文明に起因。欧米は人類の敵である。
(2)残る人類の6/7はこの人類1/6の欧米の危険きわまりないやり方─人の死をも顧みない、破壊的文明に煩わされている。
(3)こういう指摘は、もちろんいままでにも議論されてはいるが、それではどうするか、解決方法は?議論されていない(と彼は云う─実は私はそれを上述の書で議論したし、その第3部は英訳して出版してある。ただし、あまり英語圏の人間には刺激が強いと思い、この著の第1部は英訳していない)。
(4)現在、欧米側は、戦争という手段で、自分達に好都合な世界を作り出そうとしている。その結果は、地球・人類の破壊であることは目に見えている。
(5)非欧米諸国民は、こうした欧米文明の桎梏から自らを解き放さねばならない。彼は云う:非欧米は、欧米主体の組織から抜け出せ。IMF, 世界銀行、国連、WTO、欧米のNGO、欧米の大学、ノーベル賞などなどから決別せよ。米ドルを共通通貨とすることは止めよ。欧米に囲い込まれている諸国(中東の王国その他)は、彼らが気がつくまで、仲間はずれにせよ。
なお、石・安田・湯浅著「環境と文明の世界史」(洋泉社、2001)も同様に、欧米的文明の非持続性・非人間性(殺傷性)を指摘している。最後にもう一言、私の議論も含めて、これらの議論は、欧米文化・文明のすべての面を否定するわけではない。
(* http://www.opednews.com/articles/Humankind-s-Goal-for-2015-by-Herbert-Salit-CIVILIZATION_Civilization_Humanity_Imperialism-150215-864.html;2015年2月15日発表)
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