2015年03月24日00時43分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201503240043502
国際
「冷え込む日韓関係をどうするか」〜第37回日韓・韓日議連合同総会参加者に聞く〜
「1965年6月22日『日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約』が調印され、同年12月18日に批准書を交換し、日韓両国の国交が正常化しました。本年2015年は日韓国交正常化50周年の年となります」(外務省HPより)
とは言うものの、「慰安婦」問題がネックになって日韓関係は冷え込み、安倍晋三首相と朴槿恵大統領の首脳会談が行われる気配も窺えない。
こうした中、2012年に発足した「朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」は、昨年10月25日にソウルで開催された第37回日韓・韓日議連合同総会に出席した国会議員を招き、両国の懸案事項である「慰安婦」問題についてどのような議論が交わされたのかを報告してもらうという集会を参議院議員会館で開催している。
報告者は民主党の白眞勲参院議員と共産党の紙智子参院議員の2人。
日韓・韓日議連合同総会における6分科会(安保外交委員会、経済科学技術委員会、社会文化委員会、女性委員会、在日韓国人の法的地位委員会、未来委員会)の1つ「社会文化委員会」の日本側委員長を務めた白議員は、議論の一部を次のように紹介した。
「社会文化委員会には7,8人の議員が出席しました。そして最初から『慰安婦』問題をやりましょうかという話になったのですが、日本と韓国の議員間でガチンコ勝負にはならなくて、非常に友好的な雰囲気の中で議論が行われました。韓国側の議員は皆、海外留学の経験がある方ばかりで、失礼な言い方になりますが、国際常識をわきまえた、世界標準が分かった方ばかりでした。日本側から『1965年の日韓国交正常化の際に(慰安婦問題は)取り上げられなかったではないですか。法的には問題ないのではありませんか』という話をしましたし、アジア女性基金の話もしました。そして日本側が『それについて、あなたたちはどう思っているのですか』と尋ねましたところ、韓国側の議員は全否定するような答えではなく、『それは分かっているよ』という雰囲気でした。同時に韓国側からは『元慰安婦の方々としては、1965年当時は自らの経歴を名乗り出ることが出来ない雰囲気があったのです。それは日本側も理解してもらわなければ困ります』という話がありました」
同じく社会文化委員会に参加した紙議員も「かなり率直なやり取りが行われました」と語り、印象に残った議論を次のように紹介した。
「ある日本の議員が『自分は別に韓国が嫌いじゃなく、好きですよ。最も近い国なのに、遠い関係にある状況を何とか乗り越えたい、親しい隣人になりたいという思いがあるんです』と語りつつ『どうして被害を受けた女性の方々は、もっと早くにそのことを言わなかったんですか。ずっと後になってから言っているではありませんか』と訴えたところ、韓国のある議員が『彼女たちは若かったんです。多感な思春期時代に大変な衝撃を受けて、精神的にダメージを受けて生きていることに精一杯で、とても世の中に明らかにしようとは思わなかったんじゃないですか。しかし、一定の年齢を重ねて、長年抱えていた思いを勇気を奮って語り始めたのです。そうなるまでの時間が必要だったんじゃないですか』と仰っていました。それを聞いて日本の各党国会議員は、いずれも『なるほど』という感じで聞いていました。また、日本の別の議員が『両国間の糸がもつれているけど、どうしたら解決すると思いますか』と尋ねたところ、韓国側からは『安倍総理が直接ハルモニたちに会って、心から謝罪してくれたら大きく状況が変わると思います』という答えがありました。これに対して、日本のある党の議員が『それは難しい。既に日本は何回も謝っているんです』と答えていましたが、そういったかなり率直なやり取りが交わされました」
こうした議論を経て採択された共同声明には次のような文言が盛り込まれた。
「両国議員連盟は、歴史問題の象徴的な懸案である慰安婦問題において、正しい歴史認識のもとで当事者たちの名誉回復と心の痛みを癒すことが出来るような措置が早急に取られるように日韓双方が共に努力することにした」
白議員によると、共同声明におけるこの「慰安婦」問題を扱った箇所は、すったもんだすることなく、概ねすんなりと決まったということだ。
しかし、政治サイドから文言を具体化する行動は窺えない。日韓議連は合同総会後、一度も会議も開いていないらしい。
3月下旬に日韓政財界の重鎮が日本で協議の場を設けるというので、その協議が関係改善のきっかけになることを期待している。(坂本正義)
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。