2015年04月23日13時40分掲載
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遺伝子組み換え/ゲノム編集
北海道で身元不詳の農民組織がGM作物試験栽培を要請
国際的な遺伝子組み換え推進団体の国際アグリバイオ事業団は
4月22日、北海道農民協会が50名の農民の署名をつけて、北海道立総合研究機構に遺伝子組み換え作物の試験栽培実施の要請書を提出したと報じた。こうした遺伝子組み換え作物栽培への動きは、2003年に明らかになった「バイオ作物懇話会」(長友勝利代表)による全国各地で行われたモンサントのラウンドアップ耐性GM大豆の栽培以来のこと。要請を行ったとされる「北海道農民協会」がどのような組織であるかは明らかでない。(有機農業ニュースクリップ)
北海道農民協会は4月7日、北海道が100%出資の地方独立
行政法人である北海道立総合研究機構(略称:道総研)へ要請書
を提出し、大豆、トウモロコシとテンサイを含む遺伝子組み換え
作物の試験栽培を要請したとしている。
・ISAAA, 2015-4-22
Hokkaido Farmers Association Petitions GM Crops
Field Testing
http://www.isaaa.org/kc/cropbiotechupdate/newsletter/default.asp?Date=4/22/2015#13320
昨年の北海道による道民意識調査では、遺伝子組み換え作物の
栽培自体を不安視する人が8割を占めている(「不安に思う」
48.0%、「やや不安に思う」31.8%)。こうした道民の
意識を考えれば、この要請が容易に理解されるとは考えられず、
試験栽培といえども実施は難しいのではないか。
北海道知事には、条例で遺伝子組み換え作物の試験や栽培につ
いて中止命令権がある。2005年に公布された北海道の遺伝子
組み換え作物栽培規制条例で知事は、試験栽培に対して「届出の
あった試験研究機関に対し、必要に応じて勧告、栽培中止命令、
必要な措置を命令」が可能である。高橋知事は、泊原発再稼動容
認の姿勢をはっきりと示している。このような知事が試験栽培を
認める可能性が全くないとはいえないだろう。
今回の要請は、道民の遺伝子組み換え作物栽培への懸念に対す
る観測気球、あるいはキャンペーンなのかもしれない。しかし、
今後の動きには注意が必要だ。
・北海道
北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に
関する条例の概要
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/05/anzen/gmjyourei-gaiyou-26.3.28.pdf
・北海道, 2014-11
道民意識調査 5 遺伝子組換え作物等について
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/01chosei/ishiki/26idenshikumikae.pdf
今回の要請は、冨田房男氏(日本バイオテクノロジー情報セン
ター代表)主導で行われた模様だ。冨田氏は、今年1月1日付け
の日経バイテクOnLileのインタビューで、「着実に2015年こ
そ北海道で組換え作物が少なくとも試験栽培され」「2016年
には、遺伝子組換え作物の栽培にこぎ着けたい夢見ている」と、
GM作物栽培実現への期待を語っている。
冨田氏はまた、遺伝子組み換え作物栽培推進団体である北海道
バイオ産業振興協会の理事・名誉理事長であり、2003年より
自身が代表のA-HITBio社より、GM大豆を使った納豆を販売して
いる。
・日経バイテクOnLile, 2015-1-1
新春展望、冨田房男=日本バイオテクノロジー情報センター代表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141231/181466/
・(有)A-HITBio, 2003-11-28
(有)A-HITBio米国産遺伝子組換え大豆95%使用した納豆新発売
http://www.a-hitbio.com/news/
日本でGM作物が商業栽培される可能性は、コメ以外はほとん
どないのではないか。TPPやEPAによる“貿易自由化”によ
り、安いトウモロコシや大豆が輸入されることになれば、日本で
のGM作物栽培は、ますますその可能性が少なくなる。GMトウ
モロコシを、年間1000万トン以上輸入している日本に期待さ
れているのは、栽培国ではなく消費市場としての役割だろう。コ
メ以外のGM作物が栽培されるとすれば、それは“広告塔”とし
ての役目しかない。
【北海道GM作物栽培規制条例】
2003年5月に北海道農業研究センターが、札幌市内の同セ
ンター敷地内の開放系水田でGMイネの試験栽培を発表。危惧し
た市民や農家が事前説明会に集まり騒然となった。結局、GMイ
ネの田植えは強行されたが、GM作物栽培規制条例の制定を求め
る声に押され、ガイドラインを経て2005年罰則付きの条例が
制定された。
・日本有機農業研究会 『土と健康』 05年3月号
北海道は、今まさに試されている!―「GMイネの試験栽培」
から「規制条例」上程までの経緯―
http://www.joaa.net/gmo/gmo-0503-01.html
【バイオ作物懇話会によるGM大豆栽培】
バイオ作物懇話会(長友勝利代表)は、2001年からモンサ
ントの除草剤ラウンドアップ耐性GM大豆を無償で提供して、全
国各地の一般農地で栽培させてきた。実態は明らかではないが、
モンサントのGM種子の無償提供のみならず、農地の使用料など
を支払っていて、モンサントとの関係が疑われた。
2003年7月、茨城県谷和原村(当時)で開花させることが
明らかになり、緊急に花粉飛散防止行動がとられた。
・日本有機農業研究会『土と健康』, 2003年8・9月合併号
茨城県谷和原村の遺伝子組み換え大豆汚染阻止行動をめぐって
http://www.joaa.net/gmo/gmo-0308-03.html
【関連記事】
No.650 北海道道民意識調査:GM作物・食品に8割が「不安」
http://organic-newsclip.info/log/2015/15030650-1.html
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