2015年06月10日14時27分掲載
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アジア
ネパール震災被災者に差別なき支援を アムネスティが訴え
ネパールの震災で救援を必要としている被災者数千人が、性、カースト、民族による差別により、援助から取り残されている。国際人権団体アムネスティは、ネパール当局と国際社会に対して、人権最優先で支援活動にあたるよう呼びかけている。以下、アムネスティ国際ニュースが訴える実情を紹介する。(ベリタ編集部)
大震災により数千人が死亡し、何十万人が緊急援助を必要としている。市民団体など国内外の団体や個人が、この人道的問題に果敢に対応してきたが、一方で深刻な問題が発生している。
復興にあたっては、平等、正義、説明責任を確保することが重要であり、そのためには人権を最重視して災害に対応する必要がある。
ネパール社会では、家族を支える女性、ダリット(被抑圧階層)、先住民、障がい者などが、差別の対象となってきた。アムネスティの視察団は4月25日、震災の爪痕が生々しい現地を訪れたが、このような被差別者が、震災支援を受ける上でも、差別の問題に直面していることが分かった。
被災者の証言によれば、地域によっては支援が政治的に決められていた。政治的なコネがある者が、だれもが喉から手が出るほど必要な支援物資を奪い去る。救援や再建に取り組む支援者・団体は、人権の原則を最大限尊重するよう求めなければならない。
同国の不安定な政治的情勢が、地方自治に空白を生み、人権の擁護と尊重は危機的状況になっている。重大な人権侵害の罪は問われない。2006年までの10年にわたる武力紛争で生じた強制失踪、長年続く社会的差別と排除もそうだ。
アムネスティは、ネパールの政府と軍が支援物資の配給でも政治を持ち出していることにも警告を発した。3月初め、ネパール当局は英軍のヘリ3機による物資の輸送を拒否した。多くの被災住民がヘリコプターからの支援しか受けられない状況であるにもかかわらずだ。
国際法の下で、国には、支援国がどの国であっても、その支援物資を被災者に届ける義務がある。政治で人命をもてあそぶことは許されない。
アムネスティ国際ニュース
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