2015年06月22日21時31分掲載
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コラム
なぜ主要100社だけ?
朝日新聞で景気を判断するのに主要100社にアンケート調査をしていました。そこから導き出されたのは景気大回復という印象です。しかし、ここで登場する主要100社というのはその他多くの中小零細企業と比べると、比較にならないほど利益を得ている企業ですし、その内部留保も積みあがっているはずです。
一方で多くの中小零細企業にはそれとは違った声があるのではないか、と思いますが、それらの声は少なくともこの記事から割愛されていたのです。
多国籍企業を中心とする大企業の景気が回復すること=中小零細企業の景気回復とは必ずしも言えないのではないでしょうか。特に、国内の製造拠点を外国にシフトした企業が外国で利益を上げても、それはかつてのように日本国内にトリクルダウンするとは必ずしも言えません。
こう書く理由は1月から3月までの労働者の実質の報酬が去年と比べて0・5%減少していたことが内閣府の統計で出ていることで、それから4月、5月で日本経済が大きくプラスに動いたのだろうか、という疑問があるからです。春闘でベースアップがあったとしても、この先、食品や文具など、多くのメーカーが原材料費や円安を理由として値段をあげるとしています。原材料費や円安による外国資材の価格高騰は日本人の賃金上昇を伴う物価上昇=インフレとは異なるもので、いわば悪しきインフレです。
輸出企業にとって円安は輸出にプラスに作用したとしても、外国からものを買ったり、外国に出かけたりする業者にとっては経済的な厳しさを増しているのです。さらに、去年の秋の1バレル100ドルくらいだった原油が3月くらいまでに50ドルくらいに半減していましたが、じわじわ上がり始めていて、これも悪しき物価上昇の要因です。今、景気回復を大々的にマスメディアが報じたとしても、実際の多くの人の実質賃金が上がらなければ消費は上向くことはありません。
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