2015年06月30日12時23分掲載
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欧州
映画の原型「幻灯機」で作ったバンサンの映画 ビクトリア朝時代の幻灯機で手作りの味わい Vincent and his magic lantern 映像と文章で
映画を生んだ源となったのが幻灯機。それを見せてくれたのはパリの芸術家、バンサン・ベルゴン(Vincent Vergone)氏でした。バンサンは彫刻家ですが、造形物に光を当てる創作も手掛けてきました。彼が使っているパリの北の郊外・オーベルヴィリエにある共同アトリエには古い幻灯機がいくつかあります。以下はその様子を短い映像にまとめたものです。
■幻灯機を見せてくれるバンサン・ベルゴン氏 (約3分)
= Vincent Vergone shows me his magic lantern
https://www.youtube.com/watch?v=XZJUPHhNVoQ&feature=youtu.be
バンサンはこの幻灯機を使って、次のような作品を作って来ました。幻灯機で見る映像には暖かい手作りの味わいがあります。
■「冬の光」(11分) Vincen's animation film.
http://vimeo.com/7362235
In winter, a cat ,a rat and a dog are walking separately seeking for food and warm place to sleep.Then one by one, they found out a house.But they begin to contest each other when a man ,the owner of the house, comes back...
激しく吹雪く冬の夜、猫と鼠と犬がそれぞれ寒さに震え、空腹を抱えながら原野をさまよっています。まず猫が1軒の家を見つけました。誰もいないらしい。入ってみると、暖炉の火が燃え、食卓には夕食が皿に乗っていました。猫は誰もいないので思わず食べて、ベッドに入りました。次にやってきた鼠も食卓のチーズを食べました。しかし、猫が起きてきて鼠を追い掛け回します。そんな時、犬が訪ねてきました。犬も食卓の肉を食べ、やはりベッドに入ろうとしました。ところが先にいた猫と喧嘩になります。
「この家は犬の家じゃない!」
「この家は猫の家じゃない!」
そのとき、家主が帰って来ました。家主は料理が誰かに食べられたのを見て怒り、盗賊を懲らしめてやる、と怒ります。しかし、毛布をあけてみるとベッドの中で猫と犬と鼠が仲良く眠っていたのです。家主は「今夜は見逃してやろう」と一緒にベッドで温まることにしました。
冬の夜のおとぎ話。ベルゴン氏の人間性が感じられる作品です。幻灯機の世界には光だけでなく、闇があります。この闇があることがこの芸術の大きな魅力になっています。
村上良太
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