2015年07月03日04時03分掲載
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文化
抽象絵画の世界 目に見える世界と見えない世界 トリスタン・バスティ(Tristan Bastit)氏
抽象画家のトリスタン・バスティ氏に初めてお会いしたのは2002年の夏のこと。パリの書店で行われた文学の夕べでした。その時、バスティさんは毅然とした印象で少し怖い印象がありましたが、後にお会いしてみると、その時の印象とは裏腹に非常に温和で親切な人であることを知りました。
現在、74歳のトリスタン・バスティさんはパリだけでなく、スペインやベルギーでも個展を続けています。妥協しない個性的な作風に人気が集まっているのです。最近、筆者はそのアトリエを訪ねて、創作の現場を撮影させていただきました。
トリスタンは実在しない物が実在しているマテリアルなものに取り憑くのを待っているのだと言います。それを待ちながら、何度も何度も同じモチーフを繰り返して描くというのでした。絵画は外界の単なる模写ではなく、自分が白紙のカンバスに創り上げる世界。トリスタンにとってその世界は現実のものの形の中に、現実にはない世界の何かが憑りついて命を帯びる世界だと言います。それら実在しない物が実在するものに憑りついて、不思議なものとものとが芝居のアンサンブルに様に、完全に調和するまでトリスタンは何度も同じモチーフを繰り返し描くのです。時に、その営みは10年を超えるそうです。
*トリスタンの創作風景の映像(2分)
https://www.youtube.com/watch?v=LVmbOd0NkSw
トリスタンの師匠、アンリ・ギュッツ(Henri Goetz)は抽象画家で、カンディンスキーやミロとも親交のある抽象画家でした。ソルボンヌ大学時代に教えを受けたギュッツ氏から、版画をやるようにと薦められたトリスタンはまず版画家としてデビュー。しかし、後に抽象画の道に転じたのです。
■パリの芸術家 トリスタン・バスティ (2013年の記事から)
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