2015年07月23日00時29分掲載
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医療/健康
夜勤ナースの独り言(30)
高齢になると、骨折ひとつでも、術後における日常生活動作の回復が若い人より倍の時間がかかるのが常です。だから、弱気になるのは仕方のないことだと思うのですが、私たち医療従事者が、患者さんを疾病から早く回復させようと精一杯援助しても、患者さんの口から「こんな不自由な身体になって」とか「早く楽になりたい、死にたい、お迎えを待っている」という台詞を毎日聞かされたら、本気で患者さんに向き合っている分、やる気が削がれます。
しかし、患者さんの中には本当に尊敬できる方もいらっしゃいます。家族への優しい思いが滲み出ている患者さん、いつも周囲の人に感謝することが出来る患者さん、決して自分の人生観を押し付けず、でも、いざというときには生きる上で役立つ知恵を貸してくれる患者さん、誰にでも礼儀正しく、若い私たちを失敗も含めて温かい目で見守ってくれる患者さん・・・。そんな患者さんに出会ったとき、鏡で自分の姿を見るように、私たち医療従事者もその患者さんの姿勢を通じて自分自身はどうだろうかと省みるきっかけになるのです。
将来、自分がある程度の年齢に達したときに身体を病んでしまっても、決して自分の人生や置かれた立場を悲観するのではなく、できれば頑張っている若い人たちに少しでも希望を持ってもらえるよう、自分自身の行動や言動には気をつけて生きていきたい。若い人に「年齢を重ねていくことは不幸なことではなく、素晴らしいことなんだよ」と思ってもらったり、「自分の人生は、最後まで自分でプロデュースすることが可能なんだよ」と少しでも感じてもらえるよう、人として恥じない生き方をしていきたい・・・私もある程度年を取ったせいかもしれませんが、最近そんなことを考えています。(れいこ)
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