2015年08月05日14時38分掲載
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TPP/脱グローバリゼーション
TPP報道の謎2 ジェネリック医薬品とバイオ後続薬(バイオシミラー)
先程、TPPに関して新薬の特許期間と新薬のデータの保護期間との違いはなんだろうか?と書きました。TPP交渉を報じた日本のある新聞で、新薬のデータの保護期間に関する各国の主張は米国が12年、日本が8年、マレーシアやオーストラリアが5年というものでした。これは朝日新聞によると「バイオ医薬品の場合」。
調べてみると、医薬品の特許期間はアメリカでも日本でも通常20年で、製造から販売までに時間がかかった場合はケースに応じて最大5年の延長ができるとされています。そして、特許期間の切れた医薬品を後発メーカーが製造する場合はその薬をジェネリック医薬品と呼んでいます。
ただし、アメリカの場合で調べてみると、一般的な化学薬品の場合と、有機物で作るバイオ医薬品(ワクチンや血液製剤、体細胞を使う薬品など)の場合とで特許期間の切れた後続薬に対する呼び名が違っており、一般的な化学薬品の後続の場合をジェネリック医薬品、バイオ医薬品の場合は特別にバイオシミラー(bio similar)と呼ぶそうです。
2010年に発効したアメリカの連邦法、Patient Protection and Affordable Care Act (PPAC Act)ではFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可から12年間、バイオ医薬品のデータは保護されるとされています。このデータの保護ってなんのことなんでしょうか?
ウィキペディアには次のように書かれています。
’Test data exclusivity refers to protection of clinical test data required to be submitted to a regulatory agency to prove safety and efficacy of a new drug, and prevention of generic drug manufacturers from relying on this data in their own applications.’
(「薬の治験データの保護」というのは、薬の安全性や性能を証明するためにFDAなどの管轄局に提出するデータを、特許期限の切れた薬品の後続薬をつくる製薬メーカーから(一定期間)保護することを言う)
アメリカがTPPで要求しているバイオ新薬のデータの保護期間を12年にせよ、というのはこの治験データの公開を認可から12年間はさせない、という意味です。バイオ製薬は化学薬品よりも製造コストが高くつくため、特許期限とは別に、新薬の臨床試験などのデータの公開を遅らせて、後発メーカーが参入するのに障壁を作ろうということでしょう。
ですから、これまでの調べでは薬の特許期間は20年〜25年ですが、バイオ製薬の場合はこれとは別に、薬の承認までの治験データの保護期間として12年間をその条件に足すことをアメリカが求めているように読めます。データの保護期間に関してTPP参加国の日本は8年、マレーシアやオーストラリアは5年にせよ、と要求しているようです。
いずれにしても、これはバイオ関連の後続薬=バイオシミラーの場合の話で、化学薬品の場合のことはどうなっているのでしょうか。そして双方の特許期間のことは? また、いわゆるエバーグリーン条項=薬の開発メーカーが少し手を加えて薬を改良した場合に、特許期間を20年間さらに更新できる、という話はどうなっているのでしょうか。
アメリカであれ、日本であれ、発展途上国であれ、庶民にとって安価な薬にアクセスできるかどうかは、大きな問題です。
■TPP交渉 医薬品データ保護期間で対立、米国内でも強硬意見 (大野和興)
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