2015年08月17日00時23分掲載
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国際
ND米紙ウィークリーニュース第53号(August 7,2015) 〜ND(新外交イニシアティブ)注目の外交・安全保障関連ニュース〜
●目次●
「米国人女性作家 原爆の恐怖と向き合う」 LAT 7/24
Susan Southard’s ‘Nagasaki’ faces nuclear horror as the 70th anniversary of the bombing approaches
「シリア大統領 苦戦を認める」 WP 7/27
Syrian leader acknowledges battlefield losses to rebels
「イエメンで戦闘続く 人道支援のための停戦宣言後も」 NYT 7/27
Lack of Pause in Yemen War Delays Aid
「IS 昨年の死者1万5000人」 USA 7/29
Islamic State recruiting offsets 15,000 killed by airstrikes in past year
「中国が米軍を非難 南シナ海の緊張高めている」 NYT 7/30
China Blames U.S. Military Actions for Tensions in the South China Sea
「日本の防衛政策は是認できる」 FT 7/31
Japan is justified in its new defence posture
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「米国人女性作家 原爆の恐怖と向き合う」
Susan Southard’s ‘Nagasaki’ faces nuclear horror as the 70th anniversary of the bombing approaches
7月24日付のLAタイムズ電子版は、作家Susan Southard(スーザン・サウザード)氏が10代の交換留学生として日本に滞在した経験を記した著書「Nagasaki: Life After Nuclear War」(‘15/7/28発刊)について書評を掲載した。
日本滞在中に見学旅行として訪れた長崎の原爆資料館での記憶が今でも彼女の心に付きまとっており、同氏は著書の中で当時受けた衝撃を語っている。黒こげになった大人や子供たち、米国による原子爆弾投下を証明する写真を、恐怖に怯えながら見詰めたことを述懐する。また彼女自身、米国の大学で教育を受け、日本に住んだことがあるにも関わらず、太平洋戦争の歴史や、原子雲の下での生存者について、なぜ無知なままでいたのかと自問している。
彼女と同様、多くの米国民も太平洋戦争史や被爆者の方々について無知であったが、精神科医ロバート・J・リフトン氏はこの背景として、米国政府関係者は原爆投下直後から、市民に対して、原爆にまつわる全ての問題を政治家や科学者、軍のリーダーに任せるようアドバイスしてきたことを挙げ、「時が経つにつれ、米国民は原爆被害をめぐる話し合いを避けることに慣れてしまった」と指摘し、この状態を「核阻害」と造語した。
なお書評では、本当に原爆投下が戦争を終結させたのか、また特に長崎への投下に正当性はあるのか疑問を投げかけている。サウザード氏は、米国民が原爆投下を「戦争を終結させるための行為」と見なすのであればこそ、その被害に責任を持つのは米国民ではないか、と訴えている。
「中国が米軍を非難 南シナ海の緊張高めている」
China Blames U.S. Military Actions for Tensions in the South China Sea
7月30日付のNYタイムズ紙は、中国国防部の幹部が同日、「南シナ海における米国の軍事演習や偵察活動が地域の安定を脅かしている」との見解を示したと報じた。
同紙は、重要な会談を9月に控える両国の間で、緊張が高まる可能性があるとの見方を示している。
同紙はまた、この発言によって、米海軍太平洋艦隊の司令官が最近、南シナ海の上空で7時間にわたり偵察飛行したことを中国が指摘しようとしたのではないかとの分析も示した。「中国は、米国が中国を非難する時と同じやり方でアメリカを非難して南シナ海問題についての議論を優位に進めてようとしているのではないか」との専門家の意見も紹介している。
「日本の防衛政策は是認できる」
Japan is justified in its new defence posture
7月31日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、安倍政権の安保法案を支持する社説を掲載した。
同紙は、日本が、制定以来一条も改変していない憲法の解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める法案を通そうとしていることに対し、日本の防衛体制の戦後最大の変更だと言う人々もいるが、大げさであるとした。
同紙は、憲法9条が陸海空軍の保持を禁じているにも関わらず、日本が世界屈指の装備を持つ軍隊を保有していることを踏まえ、日本は既に憲法の解釈を限界まで広げているとみている。また、集団的自衛権によって、例えば朝鮮半島で戦争が起こり、日本に差し迫った脅威であるとみなされた場合、日本は米国と共に戦闘に参加できるようになるが、こうした変更について、中国や韓国は反対しているとも指摘。
同紙は、安倍首相が国家主義者で、歴史修正主義的見解を持っており、集団的自衛権の必要性についても自国民にうまく説明できていないことも踏まえた上で、軍事力の増した中国の台頭、北朝鮮の核爆弾保有を理由に、この変更は正当なものだとしている。
※「ND米紙ウィークリーニュース」は、米国各紙の中から政治・外交・日本関係の記事(月〜金曜日)を抽出し、翻訳・要約してお送りするものです。
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