2015年08月23日11時37分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201508231137030
文化
人生初のライブまであと一週間 勝浦出身の女性シンガー、川村絵理さんに聞く
この8月末に人生で初めてステージで歌う女性がいます。川村絵理さん(42才)。東京・小岩のミュージックパブがその舞台。川村さんが生まれ育ったのは千葉県勝浦市、国内有数のカツオが水揚げされる港町です。歌が好きだった川村さんは高校を卒業して上京した後、身体障害者の施設で働きながら、その間もカラオケなどで歌い続けてきたそうです。今、思いがかなって初めてのステージ。一週間後にライブを控え、準備に追われる川村さんに話を聞きしました。
Q 初コンサートということですが、どういう経緯でステージに立つことになったんですか?
A 昔から唄う事が大好きで、音楽が大好きでした。プロの歌手に憧れてなりたいなぁと思った時期もあります。初ライブを前に日に日にドキドキして、緊張感が増しています。
今回、私が唄うきっかけを作ってくれた人は『カラオケが上手いだけで終わるのはもったいない』と言ってくれました。そうやって私の唄を聴いて認めてくれた人がいて、唄うきっかけを作ってくれた事に感謝しています。だからこそ、『いい歌を唄いたい!』というのが私の今の思いです。いい唄って人の心に届くというか、残るというか。そんな素敵な歌が唄えたらいいなぁと思っています。
今回ユニットを組んでギターを弾いてくれる笹山照雄は、イカ天(※三宅裕司のいかすバンド天国)からデビューしてプロとして活動していた人です。今回のきっかけを作ってくれた人でもあります。『絶対零度』というバンドが解散し、その後『weed』でデビューしました。そんな人だからか、やるからには半端なものはやりたくないからと言われていて、素人の私にも求めるものは高いと思います。正直、私の評価は笹山の評価にも繋がってしまうので、中途半端な事は出来ないです。そんな中で唄うのはプレッシャーでもありますが、やり甲斐もありますね。いいライブが出来たらいいなぁと思います。
Q お生まれは千葉県勝浦市をお聞きしました。海のある街ですね。
A 勝浦で私の実家が営む「海の家」は営業が始まってもう50年近くなります。生まれた時からお店があって、海があって。いろいろな人との出会いがありました。昔は海で生バンドの演奏なんかもしていたそうです。うちの母が嫁ぐ前の話しみたいです。私の父はバンドでエレキをやっていて、海でも演奏したり、仕事が終わってからキャバレーで演奏したりしていたそうです。私が生まれる前の事ですが、そこにも音楽があったんですよね。ただ、父は歌は苦手。でも音楽は好きなので、そんな影響もあったのかもしれないですね。
Q これまでどんな音楽生活を過ごしてきたんでしょうか?
A 私は幼稚園の時にピアノを習い始め、そこが音楽に触れる第一歩になったのかもしれません。小さい頃からテレビの歌を聴いてはよく唄っていたようです。今でも覚えていますが、誰に教えてもらったのか『秋田大黒舞』を親戚が集まった時に唄って褒められた事があります。身内のひいき目でしょうが、上手だねって言われた事を真に受けたんです。私って歌が上手いんだって!そこから歌に対する興味が湧いてきたんじゃないかと思います。
小さい頃はベストテンやトップテンのように歌番組が多かったので、番組を観ながら歌を真似てみたりしていました。テープの時代なのでテープに録音しては何回も聴いて好きな歌を覚えては唄うって感じです。鼻歌程度でしたけど。アイドル全盛期です。憧れました。でも不思議な事にアイドルの歌に影響されたわけではなく、何故かサザンオールスターズやユーミン、山下達郎なんかの歌でした。何がきっかけで聴くようになったかはよく覚えていなくて。ユーミンは一番好きで、荒井由美の時代からのレコードやCDはたくさん持っています。
そう言えば、うちには8トラがありましたよ。その後はレーザーディスクも買いました。家で唄う事はありましたが、もっぱら演歌です。両親が唄うのを聴いて、そこが違うだの、こうやって唄うんだって口出しというか教えていた事もありました。でも小学校からバスケットをやっていて、音楽とは全くかけ離れた体育会系でして。音楽の成績は良かったですけど。
Q その後、勝浦から上京されたんですね?
A 高校を卒業して上京しました。東京での暮らしは田舎にはない華やかな世界。学生の時は、渋谷、新宿、池袋のディスコによく通いました。そこが洋楽というものにも触れる機会になったのかもしれないです。英語は話せませんが、洋楽も大好きで、今では邦楽よりも洋楽の方が聴く率は高いかもしれません。R&B大好きです。
上京した事でようやくカラオケというものに行き着く訳です。鼻歌程度でしか唄う事がなかったのが、カラオケで唄うと言うのは、なんとなく歌手気分を味わえる場所だったんです。どうやって上手く唄おうか、どの歌が自分に合った歌なのかなんて考えながら、カラオケに通いました。カラオケではMISIAをよく唄います。みんなが上手いねって褒めてくれるのはとても嬉しいです。歌を披露する場所はカラオケしかなかったと言えばそうかもしれないですね。
Q 今はどんなお仕事をされているんですか?
A 私の職場は障害のある人達と一緒に作業する所です。作業以外の取り組みにも、音楽の時間があります。毎日、朝の時間と昼の時間には歌を唄う時間があります。お昼休みはCDを聴いたり、ラジオを聴いたり、ビデオをみたりと音が溢れています。
実は作業所でオリジナルのCDも作っているんです。YouTubeにも歌はUPされています。「のびのびバンド」と言いまして、その名前で検索すると出てきます。作詞は車椅子の女性がして、作曲は笹山がしました。メインで歌っているのは車椅子の男性で、コーラスは私がやっています。
Q 今回のライブはどんなものになりますか?
A 今回のライブで唄うのは、オリジナルの曲。全て笹山が作ったものです。私なりにですが、作り手の思いが皆さんに伝えられたらいあなぁと、伝わるような歌が唄えたらいいなぁと思っています。唄い終わった後に『いい歌だったよ』と言われる事を願って。8月29日(土)小岩の『zephyr』で19:00からです。
■作業所で作ったのびのびバンドのCD「みんなの夢・スマイル」
https://www.youtube.com/watch?t=58&v=nf7eYC60EfI
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。