2015年08月27日14時53分掲載  無料記事
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【集団的自衛権問題研究会】8月26日に行われた参議院特別委員会の一般質疑

 8月26日に行われた参議院特別委員会の一般質疑のダイジェストをお送りします。気が着くと第30号となりました。今回もずさんな答弁が続出しました。誰でも分かる間違いを認めない中谷大臣。安倍首相がパネルを掲げて強調した、邦人が乗る米艦防護の物語も、すっかりメッキが剥がれてしまいました。この時期に至っても、政府側から何ら説得力のある答弁はありません。もう限界ではないでしょうか。特別委員会の今後の審議日程は未定です。8月26日の質疑後の理事懇談会でも決まりませんでした。当初、与党は28日(金)の参考人質疑を提案していましたが、野党は時期尚早と反対し、メドはたっていません。政府与党は追い詰められつつあります。明日以降どうなるのか、注視していきましょう。(【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第30号) 
 
安保法案:採決日程調整大詰め 「11日まで成立」厳しく(8月26日、毎日) 
http://mainichi.jp/select/news/20150827k0000m010102000c.html?inb=tw 
 
“米艦防護に邦人存否は無関係”大臣答弁に野党反発(8月26日、テレビ朝日) 
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000057518.html 
 
岸田外相:集団安保に参加可能…自衛権行使前でも(8月26日、毎日) 
http://mainichi.jp/select/news/20150827k0000m010097000c.html 
 
【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧 
http://www.sjmk.org/?page_id=349 
※FAX、電話での要請にお役立てください! 
 
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【8月26日(水)参議院特別委員会 一般質疑ダイジェスト】 
 
※首相出席なし、NHK中継なし、約6時間 
 
ネット中継アーカイブ 
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php 
※カレンダーの日付(26日)をクリックしてご覧ください。 
 
◆小川勝也(民主) 
「他国軍の武器等防護で米艦に魚雷が撃たれたらどうするのか?」 
中谷「武力攻撃に対応するものではない」 
小川「ああでもないこうでもないと迷っている人に守ってほしいと思わない。魚雷に対してイージス艦からアスロックミサイルを撃てるのか?」 
中谷「武力の行使、威かくにならない前提で、個々のケースに応じて」 
小川「法制局がまともに機能していたらこんな法律は通らない。こんな実態のない法律を出してはダメだ」 
 
◆大野元裕(民主) 
「自衛権の行使で在外邦人保護は出来ず、攻撃されている米艦防護もフルスペックの集団的自衛権に当たると答弁しているのに、なぜ邦人輸送中の米艦防護が限定的に集団的自衛権を行使できる新3要件に該当するか?」 
中谷「近隣で武力紛争が発生、米国も武力攻撃を受けている、攻撃国の言動から我が国への武力攻撃の恐れがある、との条件から判断する」 
大野「在外邦人は関係ないということだ」 
 
◆大野元裕 
「存立危機事態の認定に米艦に乗っている邦人の有無は関係ないですね?」 
中谷「判断の要素の一つではあるが、絶対的なものではない」 
大野「(総理の説明は)女性や子どもを使って国民感情に訴えて、法的な立法事実を覆い隠す。これはとんでもない姑息なやり方だ。真摯に立法事実を示して理解を得るやり方とは全く違う」 
 
◆大野元裕 
「米軍イージス艦を米軍が独自に守れる場合は、自衛艦が守る必要はないということでいいか?」 
横畠長官「どこに資源を振り向けるか、手薄な所に回る事はあり得る」 
大野「そういう3要件なのか、初めて聞いた」 
横畠「十分に米艦が防護されている状況なら、第2要件で我が国が防護する必要がない場合もある」 
 
◆大野元裕 
「ミサイル防衛能力のない米イージス艦についても守る必要はないでいいか?」 
中谷「米国のMDでは各艦艇の機能が相まって対処し、ご指摘の艦も関連。対象になる」 
大野「総理の「日本のMDの一角である米艦」との答弁と違うのではないか。そうならば韓国のレーダー等も対象になる。しっかり議論が必要だ」 
 
◆大塚耕平(民主) 
「限定的な集団的自衛権は国際法上の概念か?」 
岸田「どう行使するかはそれぞれの国の判断だ。概念は国際社会において存在する」 
大塚「「限定的な自国のための集団的自衛権」は国際法上に根拠はない。海外ではあたかもフルスペックかのように報道されている。根拠について統一見解を求める」 
 
◆大塚耕平 
「先日「密接な関係にある国」を尋ねると「条約関係は必要ない。国際司法裁判所のニカラグア事件判決にある」と答弁があった。資料要求したが3ヶ月経っても届かず、「判決文にそうした根拠はない。すみません」とのファックスが来た。その後、大臣答弁は「我が国としては必ずしも条約を必要としないと判断」に変わった」 
 
◆大塚耕平 
「法案に「存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない」とある。この場合、超例外的に敵基地を破壊することはできるか?」 
中谷「能力を持たず想定もしていない」 
大塚「法律に義務があるのに能力がない。矛盾を放置したまま法を施行するのか。法理上できるが政策でやらないとする一方で、物理的にできないことを法で義務化している。かなり無理のある法案は提出し直すべきだ」 
 
◆小野次郎(維新) 
「「存立危機事態は武力攻撃事態と同視すべき危機」と言いながら、我が国への武力攻撃が切迫も予測もされていないのに、何を根拠に我が国の存立が脅かされると認定するのか?」 
中谷「物資やエネルギーの途絶により国民に被害が及ぶ場合がある」 
小野「納得できない。統一見解を求める」 
 
◆小野次郎 
「攻撃を受けた他国の同意、要請をなぜ法に明記しないのか?」 
中谷「対処方針には書き込む」 
小野「今日の新聞に「法的要件にすれば国連による集団安全保障措置など、本来は要請や同意を要しない活動への日本の参加が制約される可能性が出てくる」とある。安保理決議を理由にすることはないか?」 
岸田「そういう理由で書かないのではない。集団安全保障を理由にする場合は稀にある。」 
小野「他国の要請がなければ座して死を待つのか。法は出来損ないだ」 
 
◆辰巳孝太郎(共産) 
「『イラク復興支援行動史』に「民間」が何度も出てくる。「本派遣では総輸送力の99%を民間輸送力に依存した」とあるが事実か?」 
中谷「大きく依存したとの表現だ。貨物機アントノフを37機利用など」。 
辰巳「民間輸送や技術者派遣の数は?」 
中谷「日本とクウェート間の輸送の概略は、要員輸送は政府専用機24回、民間機延べ100回、物資輸送では輸送艦おおすみ1回、民間船舶延べ10隻、主としてアントノフ輸送機により延べ63回だ」「技術者は平成21年8月時点で延べ39名派遣した」 
辰巳「情報公開請求により、日通が受注して民間機で輸送。アントノフ、ブリティッシュ・エアウェイズ、タイ国際航空、日航と判明した」 
 
◆辰巳孝太郎 
「(契約書に)「装備品」と書かれているのは何か?」 
中谷「人道支援物資等だ」 
辰巳「武器弾薬は?」 
中谷「含まれる」 
辰巳「民間機が運んだか?」 
中谷「運んだが、日航だけは武器弾薬を運んでいない」 
辰巳「自衛隊はサマワに110ミリ対戦車弾、84ミリ無反動砲、12.7ミリ重機関銃などを持っていった。これらも民間航空が運んだのか?」 
中谷「契約して輸送した」 
辰巳「復興支援でさえこれだけ民間機が使われている。まして集団的自衛権行使や後方支援は民間協力なしにできない」 
辰巳「事実が十分明らかになっていない。総括なしの法案審議だ。民間活動の資料公開を求める」 
 
◆辰巳孝太郎 
「民間輸送はイラク特措法19条に基づくものか?」 
中谷「基づかない」 
辰巳「契約すれば法に基づかずにできる。特措法の「安全の確保に配慮」の範疇にイラクに行った民間人は入るか?」 
中谷「含まれないが安全確保に万全を期すのは当然だ」 
辰巳「労働安全衛生法は適用されるか?」 
厚労省「原則国内で適用される」 
辰巳「保護が適用されない」 
 
◆辰巳孝太郎 
「シカゴ条約は民間機の軍事利用を原則禁止している。安全輸送の理念に反するからだ。自衛隊や米軍がチャーターした民間機が武器輸送した場合、軍の業務に当たり、国の航空機とみなすか?」 
岸田「個別に判断する。平成4〜5年、自衛隊が日航機で人員輸送したのは民事上のチャーター契約で民間機扱い。平成9年に米軍が全日空をチャーターしたのは、米軍の管理のもと国の航空機とみなされると判断」 
 
◆辰巳孝太郎 
「武器弾薬の輸送は軍の業務か?」 
岸田「シカゴ条約では規定されていない」 
辰巳「どういう武器を運べばみなすのか。国か民間かの判別は大事だ。基準を明示すべきだ」 
岸田「国際機関でも統一解釈は存在しない」 
辰巳「航空法は軍需品輸送は規定していない。憲法9条によるものだ。その土台を掘り崩すのがこの法案だ」 
 
◆辰巳孝太郎 
「新ガイドラインで港湾も「実地調査の実施で協力」と初めて明記された。どういう事か?」 
中谷「これまでも相互協力し、調査してきた。詳細は緊急時の日米の対応ぶりに関わり差し控える」 
辰巳「ウィキリークスは2008年に日米共同概念計画で23の空港、港湾を調査したと」 
中谷「不正入手して公表された文書にはコメントしない」 
 
◆水野賢一(無ク) 
「日本の存立危機事態の認定に他国の要請が必要というのは常識的におかしい。概念そのものが壮大な論理矛盾ではないか。認定に他国の要請が必要だとどこに書いてあるか?」 
中谷「定義には含まれていない」 
水野「要請がないまま認定したら、国際法のどこに違反するのか?」 
中谷「憲法上の3要件の前提として国際法がある」 
水野「全く納得できない」 
 
◆水野賢一 
「礒崎総理補佐官は6月18日に「他国の要請は存立危機事態の認定条件ではないが集団的自衛権の行使には必要」とツイートした。大臣答弁と違う。礒崎発言は間違っているか?」 
中谷「特段矛盾しない」 
水野「誰が見ても矛盾しているのに、「していない」と言うのはおかしい。こんな大臣にこのまま質問は続けられない」 
(速記止まる) 
中谷「礒崎氏のツイートは政府と異なると言って差し支えない」 
水野「改めて礒崎氏の参考人招致を求める」 
 
◆山本太郎(生活) 
「防衛省が日本学生支援機構理事だった前原金一(かねいち)氏に示した、企業新人を2年間自衛隊に派遣する「インターンシッププログラムイメージ」は誰の責任、決裁で出したのか。当時の小野寺大臣は知っていたか?」 
防衛省「人事教育局人材育成課で作成した。大臣には説明していない。局長が知っていたかは未確認だ」 
 
◆山本太郎 
「給与も自衛隊が支給する。「将来的に予備自衛官として採用も視野」とある。本人が望まないのに勤務させられる。まさに意に反する新しいタイプの徴兵制ではないか?」 
中谷「2年に限ったインターンシップであり、将来も拘束しない。具体的検討はその後行われていない」 
山本「今やっていないからいい、ではない。企業側メリットとして「自衛隊製体育会系人材を一定数」とある。そんなつもりで入った人はいない」 
 
◆山本太郎 
「本人の意に反する自衛隊勤務は憲法18条違反ではないか。今後こうした採用はないと断言を」 
中谷「徴兵制を狙うとか意に反して拘束するものではないし、そんな計画は作らせない」 
山本「前原氏が奨学金延滞者情報を求めていた件で今後も提供はないと断言を」 
下村大臣「情報提供したこともなく今後もない」 
 
◆山本太郎 
「下村大臣はテレビで「マイナンバーを活用して所得連動型奨学金制度づくりを」と。マイナンバーは米国で年間900万件を超える成りすましがあり、被害額は2兆円。延滞者リストが自衛官募集に流用されることはないと断言を。マイナンバーを使わぬ選択肢を選べるようにしてほしい」 
下村「延滞者情報は含まれておらず、利用できない。年収300万円以下は返済猶予にする。マイナンバーを使わないのは理論的に可能だが、所得証明を取って役所に出すのは煩雑ではないか」 
 
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<特別版 第29号(8月25日の参院一般質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=395 
 
<特別版 第28号(8月21日の参院集中質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=392 
 
<特別版 第27号(8月19日の参院一般質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=388 
 
<特別版 第26号(8月11日の参院一般質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=385 
 
<特別版 第25号(8月5日の参院一般質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=382 
 
<特別版 第24号(8月4日の参院集中質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=378 
 
<特別版 第23号(8月3日の礒崎補佐官参考人質疑&一般質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=375 
 
<特別版 第22号(7月29日の参院集中質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=371 
 
<特別版 第21号(7月28日の参院集中質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=357 
 
<特別版 第20号(7月27日の参院本会議質疑録はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=354 
 
<特別版 第19号(7月17日の衆院強行採決抗議声明はこちら> 
http://www.sjmk.org/?page_id=359 
 
<第18号以前のバックナンバーはこちらからご覧ください> 
http://www.sjmk.org/?page_id=11 
 
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発行:集団的自衛権問題研究会 
代表・発行人:川崎哲 
News&Review特別版 編集長:杉原浩司 
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