2015年08月31日23時27分掲載
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政治
大衆運動と政治的な出口
昨日、8月30日、国会前に安保関連法案に抗議するために集まった人々に話を聞きながら、国民の中に様々な怒りや不満が渦巻いていることを感じました。
1、憲法9条の解釈改憲に対する怒り
2、安保関連法案の廃案
3、安倍内閣の退陣
4、国会解散と衆院の総選挙
参加者の中にはこれらの要求が複数ありました。昨日は国会前だけでなく、全国各地で多くの人が反対集会に集まった模様です。ただ、これらの要求をすべて現在、満たすのは今置かれている国会の状況を見ると、非常にハードルが高いのではないか、という気がします。理想は高いのですが、それを実践するには政治家や政党を動かす他ありません。大衆運動が政治家を動かさずに政治的理想を実現しようとすると、武力を用いた革命しかありませんが、それを望む人は多くはないでしょう。
この法案に反対している人にとって、これから9月27日の国会会期末に向けて大切なことが2つあると思います。
1、政治的に最終的に何を勝ち取るか
2、どのようなプロセスで政治家を動かして政治的目標を得るか
反対派の人々はこの2つのことを明確にして、大衆運動のエネルギーを効果的にそのために生かさないと、エネルギーの発散で収束してしまいかねません。最終的な出口をどうするか、政治家を巻き込んだ具体的な道筋がなくては反対の人々がいかに立ち上がっても法案可決を阻止することはできないでしょう。具体的には自民党の政治家の中から反対派を動かすこと、あるいは公明党の離脱を起こすことでしょう。それ以外には参院で可決、あるいは60日ルールによる衆院での再可決を阻止することは野党にはできません。
反対派の人々の中には今回の可決は防ぎようもないが、可決したあとも運動を続けていけばいつかは改善していける、という人もいます。しかし、小さな目標1つでも何かを今、具体的に勝ち取る、という達成感が実は政治運動が継続していける条件ではないか、と思います。12万人集まっても結局、小さな妥協1つすら得られなかったね、ということになると次回があるかどうかはわかりません。他人事のようになってしまって恐縮ですが、理想の高さと具体的な政治的出口の戦略が見えないこと、その差が大きくあるように感じます。しかし、この先、まだ事態は動きうる可能性が残されていると思います。
村上良太
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