2015年09月18日15時13分掲載  無料記事
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政治

16日、国会内に警察官が立ち入り、野党議員排除に手を貸す 弁護士有志が抗議声明を発表

 参議院安保特別委員会で戦争法案をめぐって与野党がつばぜり合いをしていた16日夜、警察官が議事堂内に立ち入って警察活動を行ったことが判明、弁護士有志が声明を発表した。議会内に警官が立ち入ったのは、過去2例があるだけ。きわめて異例の措置であり、院の規則によって議長の指示がないと出来ないことになっている。しかし今回こうした指示がなされた形跡はない。とすると、官邸が直々に警察に指示したという可能性さえ考えられる。もしそうだとすれば、行政による立法の無視であり、事実上のクーデターをさえいえる重大事態となる。(大野和興) 
 
 弁護士有志の声明に対する賛同弁護士の数は呼びかけと同時に続々増え、17日19:12時点で267名となっています。この問題を担当している太田啓子弁護士は事態の重大性をFacebookで以下のように述べている。 
https://www.facebook.com/oota.keiko/posts/948257601900419 
 
 議事堂内に警察官が立ち入った過去の事例は二件のみです。声明に書いていますが、そういう超異例事態です。 
 そもそも参議院規則が例外的な場面として議事堂内への警察官導入を認めているのは、議事堂内でテロが起きた場合みたいなことを想定しています。 
 政府与党による法的クーデターが進行中の今、それを体をはって阻止しようとした野党議員を警察官が排除しようとしたとは何事でしょうか。議員はテロリストではありません。 
 今回警察官は一名でした。でも数が少ないならたいしたことがないとかそういう問題ではありません。 
 
 議員は国民の代表者です。真摯に活動している議員の活動を警察官が排除しようとしたということは、民意を警察官が排除しようとしたことと同じです。 
 憲法が保障する議院の高い自律性にも反する。 
 
 安倍政権はどこまで何まで壊すつもりなんでしょうか。 
 昨日の委員会「採決」もそう。 手続もものすごく大事なんです。適正な手続が守られることがイコール民主主義の保障です。 
 どこまでも「安倍的」。 
 
 安保のことだけじゃない、こういうことを主権者がぼやぼやと看過していたら、他の分野にもどんどん「安倍的」なことが及んでいきます。既に及んでいますよね、派遣法改悪はどうでしょうか。 生活保護についてはどうでしょうか。教科書についてはどうでしょうか。原発についてはどうでしょうか。すべてが「安倍的」。 
 
 ぜひ弁護士有志の声明の拡散をお願い致します。 
 
 
  【警察官の議事堂内立ち入りに抗議する弁護士有志声明】 
 
 平成27年9月16日午後10時過ぎ、警視庁警備課の私服警察官1名が参議院内に入り、第一理事会室前に多数いた野党議員の間に強引に割り込むなどして、いわゆる安保関連法案を審議する参院特別委員会の鴻池祥肇委員長の通路を確保しようとした。 
今まで議案の審議に際して議事堂内に警察官が導入されたのは、昭和29年6月3日に警察官職務執行法の審議において野党議員が議長席等を占拠した際200人の警察官が導入された事例及び昭和35年5月19日に日米安保条約改定に伴う会期延長に反対する議員が議長室前廊下を占拠した際に500人の警察官が導入された事例の2件のみであり、警察官が議事堂内に立ち入ることが極めて例外的な異常事態であることは明らかである。 
 参議院規則218条本文は「衛視は、議院内部の警察を行う。警察官は、議事堂外の警察を行う。」という原則を明記し、議院内部の警察は国会の衛視が担当することを定めている。これは、立法府たる議院の自律性を確保するためである。 
 そして、同条但書は「議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。」と定めている。 
 しかし当該警察官に対しては議長からこのような指示がなされた形跡はない。議長の指示もないまま警察官が議場内で警察活動を行っていたとすれば議院の自律性を侵害する大問題である。 
また、仮に議長がそのような指示をしていたとしても、やはり大きな問題がある。立法府である参議院の自律性を維持するためには、行政権の介入を排除しなければならないのが大原則である以上「特に必要と認めるとき」とは、衛視による警察権では議院の秩序を保つことができないことが明白な事態でなければならない。この点、当時の状況に照らすと、かかる事態は認められない。従って、参議院議長が警察官に議事堂内の警察を行わせていたということであれば、参議院議長の職権の濫用であり、参議院の自律性を侵害する極めてゆゆしき事態である。 
 特に良識の府とも称される参議院は、政府与党とは一線を画する必要性も特に高い。もしこの警察官の導入が、今国会での成立を強行したい政府与党の意を受けたものであるなら、議院の自律性を揺るがすものである。 
 現在国会にて審議中の安保法案の内容については、憲法違反であることが元・最高裁判所長官の山口繁氏を初めとする多くの法律家や学者によって指摘されており、憲法違反であることは明白である。 
 今、参議院がすべきことは、警察官を導入して野党議員の活動を封じようとすることではない。 
 今、参議院がすべきことは、法案を憲法に適合するものに修正するための審議を充分な時間をかけて行なうこと、あるいは、改めて立法事実の存在から問い直し、本法案を廃案にすべきではないかを検討することである。 
                       弁護士有志一同 


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