2015年09月19日14時22分掲載
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政治
【ドキュメント国会】17日の参院特別委強行採決は有効なのか
17日の参院安保特別委での強行採決は本当に成立したのか。三会議で戦争法案が可決成立した後も、疑惑は消えていない。この日の動きを、記者が現場で立ち会ったことに限って、遅ればせながら追ってみた。(上林裕子)
◇17日午前3時半頃
午前3時27分に8時50分までの休憩が決まりざあざあ降りの外に出てみると参議院議員会館の前ではレインコートを着た10数人が国会に向けてコールをしていた。委員会室に声が聞こえていたと伝えると、そう聞いていたので外の声を届けている、とのこと。みんな、この法案を何とか止めようと必死だ。
◇9時30分
9時からの開会だったのだが遅れて委員会室に到着すると、委員会は始まっておらず委員長席の周りに野党議員が集まりもめていた。安倍首相、中谷防衛大臣、岸田外務大臣が出席しており、政府関係の参考人も席についており、いつでも委員会がスタートできる状態。
3時27分に休憩を決めた時、理事会室で昨日の続きで理事会を始めることが決まっていたと野党は主張するが、鴻池委員長は「委員長職権で委員会室で理事会を行うことを決めた」という。理事会から即委員会に移行し、手早く採決してしまおうとする与党側の意図が見え見えだ。決めた、決めないの押し問答で混乱する中、福山民主党理事が委員長不信任動議を提出、鴻池委員長は委員長席を降り佐藤自民党理事を暫定の委員長に指名した。しかし、「委員長は理事会で互選することが決まっている」と野党側が異議を唱えた。不信任動議が出された時は、他の動議に優先して審議する必要がある。
◇9時50分
休憩、理事会開催
◇11時10分
なぜか、岸田外務大臣、中谷防衛大臣が委員会室に。
野党議員が「委員長不信任案についての審議なので大臣出席は不要。委員長がいないのに誰が大臣を呼んだのか」と議会職員に質すがわからず。「中立でなければならないのに与党の事務方のようになっているのも問題」と、野党議員が苦言。議会職員はどこかに電話連絡し、その後大臣は退席した。
◇13時
委員会が開催される。理事会で暫定的に選任されて自民党佐藤理事が委員長席へ。福山民主党議員が不信任案提出の理由を説明。与・野党各議員が不信任案に賛成、反対の意見をそれぞれ表明する。
◇15時30分
委員長不信任案の審議の後、昨日から延期されている締めくくりの審議が2時間予定されている。それまでには戻ってこようと所要のため委員会室を後にした。途中参議院の面会所をのぞくと大勢の人が不信任案に賛成の意見表明をしている社民党・福島みずほ議員のライブ映像を見ながら拍手をしていた。
◇17時頃
国会の中にいると外の様子が全く分からないので国会正門前の様子を見に行った。小雨の中、多くの人が集まっている。国会前通りは装甲車を隙間なく並べ、車道は決して占拠させないという意思表示のようにおびただしい数の機動隊員を配置している。
国会から駆け付けた福島議員が「鴻池委員長の不信任案が否決され、委員長が席に戻った直後、混乱の中で採決ともいえないやり方で採決が行われた」と報告した。
16日には13人が逮捕されたとして、学生たちが救援のカンパを募っていた。
◇強行採決場面を録画で観る
17日の委員会の録画の最後を見てほしい。鴻池委員長が委員長席に戻るところから速記は止まっている。画像から推察すると、速記が止まっている間に与党議員から審議打ち切り動議が出されたようで、野党議員が委員長席に駆け寄る姿が見られる。画面はまだ、「速記が止まっているので音声が消消されている」との表示がされている。
しばらく無音の場面が続き、急に音声が入って終わっている。その混乱の中で首相が入ってきて着席し、採決後にそそくさと立ち去る姿も映っている。締めくくり審議も行わず、与野党の合意もなしに審議を打ち切り強行採決をする…この採決は無効ではないのか。これは謀議・謀略以外のものではなく、「多数」であることを唯一のよりどころとした数の暴力である。
【写真】
9:52 委員会室で理事会を開こうとした委員長に反発、委員長不信任動議を出した野党議員
14:30 委員長不信任動議に賛成の意見表明をする無所属クラブの水野委員
正門前で 法案に賛成する公明党の議員の写真を並べ「平和の党へ戻れ!」とアピールする人もいた
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