2015年10月21日13時56分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】砂漠を襲った大洪水 平田伊都子

 砂漠に雨が降る? 「ウソ~ッ!」と、ビックリしないでください。 砂漠は雨も降るし、洪水にも見舞われるのです。 エルニーニョのせいでも、当節流行りの気候変動のせいでもありません。 恐竜時代の昔から、砂漠には雨季があって、雨も降れば雪も降ったそうです。 アルジェリアの砂漠にある西サハラ難民キャンプでは、ここ一週間、雨が降り続いています。 
 
(1)大洪水がアウセルド・難民キャンプ襲う: 
 2015年10月17日と18日にかけて、大雨がアルジェリアのサハラ砂漠にある西サハラ難民キャンプに降り続いた。5つある西サハラ難民キャンプ郡には故郷の地名がつけられ、夫々に5万から6万の西サハラ難民が40年にわたって住んでいる。国連などが支給するテントは5年ほどしかもたないし、新しいテントはなかなか支給してくれないし、難民たちは手作りの日干し煉瓦を積み上げ泥小屋を建て、雨露を凌いでいる。しかし、砂漠には雨が降るのだ。しかも、大雨が降り続き、砂漠がその大雨を吸いきれなくなると、大洪水になって泥小屋は無残に崩れ砂漠の砂に帰ってしまう。この大洪水でアウセルド難民キャンプが半壊した。 
 
(2)パリ警察がモロッコ産の大量ハシッシを摘発(ロイター発): 
 10月18日、フランス警察が、パリ16区の路上に駐車してあった3台のバンから、ハシッシ(大麻)7.1トン、末端価格で20億円分を押収した。大麻は袋に小分けにされていて、フランス捜査当局は、「モロッコ産ハシッシはモロッコから運ばれてきた。国内で一度に押収された量としては、過去2年間で最大だ」と、発表した。税関の事務所を訪れたオランド大統領は、「犯罪組織やテロリストたちが関与している可能性がある。麻薬密売との戦いは、テロリストの資金源を絶つ戦いだ」と、記者会見で勝利品を見せびらかし鼻高々だった。 
 
(3)ロス国連事務総長個人特使、やっとモロッコ視察を許される: 
 10月19日、ロス国連事務総長西サハラ個人特使のモロッコ視察に、やっとモロッコ国王のお許しが出た。昨年2014年の同じ頃には、この、恒例の国連視察をモロッコは拒否した。西サハラをモロッコ領土だとするモロッコは、今年の国連脱植民地化第4委員会でも「モロッコ王のご命令で南サハラ(西サハラに対するモロッコだけの呼び名)はモロッコ王国が領有するのモロッコの一地方州」と、数年来の主張を繰り返した。が、モロッコの思惑通りに国際社会が動かないと見てとると、踵を返して国連にゴマをするようになった。晴れて、ロス国連事務総長西サハラ個人特使は、モロッコ国連大使ヒラルやモロッコ外務大臣サラハ・デイーンなどに、モロッコ首都ラバトで迎え入れてもらえることになった。 
 
(4)大大洪水がダハラ・難民キャンプを襲う: 
 10月19日になっても、17日からアルジェリア砂漠に降り続いた大雨は止まず、ダハラ西サハラ難民キャンプの泥小屋ほとんどが溶けて流れてしまった。集会場や学校や診療所なども難民手作りの泥小屋に変わりない。しかもこのキャンプ郡は難民政府センターから190キロも砂漠に奥深く入った所にある。西サハラ難民政府はありったけの車両を総動員して、洪水難民の救出に向かった。西サハラ難民赤新月社は世界の援助団体や国連関連機関にSOSを発信した。 
 ダハラ難民キャンプの由来になっている故郷<ダハラ>は、大西洋海岸に面した漁港だ。しかし、西サハラ難民たちは地雷防御壁とモロッコ占領軍に阻まれて、故郷のダハラに帰ることができない。 
 
 2015年12月には、砂漠に一番遠く隔離されたこの<ダハラ難民キャンプ>で、西サハラ民族大集会を開きます。 4年に一度のこの大会には、モロッコ占領地・西サハラから西サハラ被占領民が遠路遥々、モロッコ占領当局の厳しい目をかいくぐってやってきます。 
 
 40年以上、過酷な砂漠気候と戦ってきた西サハラ難民の人々、、大大洪水をどう対処していくのでしょうか? 勇気と工夫に長けた西サハラの人々、きっとコペルニクス的転回で逆境を乗り越えていくのでは、、 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2015年10月21日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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