2015年11月16日01時46分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201511160146201
国際
パリで再発したテロ事件
パリで同時多発テロが起きたという知らせを聞いたのは仕事場でした。「今朝(日本時間で)、パリで大事件が起きたんだ。」驚きを隠せませんでした。パリには知人が少なくないから、彼らの中に怪我をしたり、巻き込まれたりした人はいなかったのかな・・・最初にそう思いました。と、同時に、ニューヨークで2001年9月11日に起きたときのような、悪い時代へと欧州全域が突入していくのではないか、という予感も走りました。
仕事を終えて、帰宅してインターネットでニュースを見ると、オランド大統領が暗い顔でビデオカメラに向かって「これは戦争である」と語っているのを聞きました。フランス政府は外国から仕掛けられた攻撃であること、攻撃には準備がなされていたこと、そうした態様から、「戦争」という言葉を意識して使ったのです。
インターネットの中にはさまざまな映像や言葉が流れていました。「イスラム主義者を追放せよ」という幕を掲げた人々をパリの市民たちが声を上げて追い払っていく映像もありました。短時間で目にした情報だけなのですが、1月にCharlie Hebdo誌が襲撃された時と比べて、今回の犠牲者はおよそ130人とはるかに多かったにも関わらず、パリ市民があの時より冷静に事態を見守っているような印象すら受けました。
しかし、その一方で、ロシアのプーチン大統領に対する支持の声も目につきました。ロシアはイスラム国との戦いのために、シリアのアサド政権軍への援軍をためらいませんでした。フランスのヴァルス首相からプーチン大統領と同じ言葉を聞きたい、と誰かが書き込んでいました。シリア政府に対して、援軍を送る必要がある、と別の人も語りました。
パリで音楽家として活躍しているフランク・ルッソ(Franck Russo)さんに、今回の事態をどう見ているのか、聞いてみました。ルッソさんは少し考えて、こう答えました。
「話せば長くなるんだが・・・僕たちは恐れる必要はないんだ。僕たちにとって大切なことは自分自身であり続けることだと思う。アーチストであること。人間であること。幸せであること。愛すること。そして、憎しみと恐怖に屈しないことなんだ」
そういえば、ネット空間の中には、パリの人々ができることは今までのように愛し合ったり、美味しいものを食べたり、裸になったり、街で酒を飲んだり、今までの生活を続けていくことだ、というメッセージがありました。このことは、1月に起きたテロ事件の時にはなかった何かのような気がしました。
村上良太
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。