2015年11月17日16時05分掲載
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国際
「私はカフェのテラスにいる」(Je suis en terrasse) 観光都市に対するテロ攻撃
1月に風刺漫画誌のCharlie Hebdoが襲撃され、漫画家らが殺されたとき、「私はシャーリーだ」(Je suis Charlie )というプラカードやメッセージがフランス全土で掲げられました。このメッセージは言論の自由を奪うことはできない、というものでした。
そして今回パリが再び襲撃を受けた後、目にしたメッセージは「私はテラスにいる」(Je suis en terrasse)というもの。あるいは「私はコンサート会場にいる」というメッセージも。これらはテロにあった場所がカフェのテラス席であったり、ロックコンサートの会場であったことに関係しています。テロリストが標的にしても私たちはカフェのテラス席でコーヒーを飲む自由も、コンサートに行く自由も奪われない、という意思を示しています。
その延長線上に、裸体の女性の漫画やポスターも現れていて、これらはフランス革命の時の名高い絵画になぞらえられています。マリアンヌという名前の革命のシンボルの女性が乳房を顕にして革命の先頭に立っているあの絵画です。パリには宗教原理主義国家にはないすべてがあるーこんな風にフランスの人々は今回の怒りをこめているようです。生きることの喜びを抑圧されることはない、というのがそれらのメッセージです。
パリは観光による収入が大きな割合を占めています。それが税収にも反映します。テロリストはパリを危険な都市に変えて、観光産業にダメージを与え、経済の窮乏化を狙っているものと思われます。シリアも、エジプトも、チュニジアも観光収入の割合が高い国々ですが、内戦やテロによって外国からの観光客が途絶えて、経済に悪い影響を与えており、そうしたことも欧州に難民が押し寄せる理由となっています。しかし、今起きているのは欧州で同じ状況を起こそう、という企てです。もし今後、パリで外国人観光客が狙われる事件が起きれば、観光に対するダメージは一層大きくなるでしょう。
しかし、フランス市民にとっては観光産業の打撃ということよりも、それ以前に、市民的自由を奪われはしない、という意思が「私はテラスにいる」という言葉にこめられているように思われます。その点では「私はCharlieだ」というメッセージと同じものではないでしょうか。
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