2015年11月20日19時32分掲載
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中国
三十路女子の北京的生活(1) 〜冬の北京名物、涮羊肉
今年もまた、寒くて辛い北京の長い冬がやってきました。しかも例年より早く、11月上旬には雪まで降ってしまいました。
「北京秋天」というように、よく「北京は秋が一番いい」と言いますが、そんな一番良い季節は、悲しくもあっという間に過ぎ去ってしまうのです。
なぜ、こんなに冬が来ることが辛いのか。
それは、北京の冬がとても過酷だからです。
気温も、寒い時でマイナス20度ほどになるのですが、それに加え、中国の北方内陸部にある北京は、日本では考えられないくらい、とても乾燥しているのです。北京の冬は、まさしく「大陸的な寒さ」なんだろうと思います。最近ではそこへ、空気の悪い日が多くなるということもプラスされます。
北京で過ごした最初の冬は、とにかく経験したことのない乾燥に大変な苦労をしました。身体の油分がすべて奪われてしまったかのように、腕も足も顔もガッサガサ。皮膚が炎症を起こし、「かゆい」を通り越して「痛い」のです。シャワーのお湯を当てるだけでもヒリヒリ。自分ではこの乾燥肌をどうすることもできず、病院へ行くことになりました。今では良いクリームを友人に教えてもらったり、中医的養生法を勉強したりと、北京の冬とも多少は上手に付き合えるようになってきましたが、それでも夏の終わりが近づくと、「あー。今年もついに冬がやってくるー」と、少しどんよりとした気分になります。
しかし、北京で過ごす冬にも楽しみはあるのです。
その一つが北京名物、「●(サンズイに「刷」の字)羊肉」「羊肉火鍋」と言われる羊のしゃぶしゃぶ。
北京の人たちは、夏もよく火鍋を食べていますが、やはり羊肉の本領が発揮されるのは、寒い冬になってから。
なぜ、冬に羊肉を食べるのか。
医食同源が人々の暮らしに根付いている中国では、季節や体調によって、その時に何を食べるかを大事にしています。そういう点で、羊肉は栄養価が高く、血液の循環を良くし、身体を温める効能があるので、冬に食べると良いのだそうです。
お鍋のスープにも、生姜や葱、ナツメやクコの実、桂園(竜眼という果物を乾燥させたもの)など、身体に良い食材が入っています。火鍋とともに、クイッと白酒(パイジュウ)なんて飲んでしまえば、風邪も寒さも吹き飛んでいってしまいそうです。
ちなみに白酒とは、高粱でつくった蒸留酒で、独特の香りがあります。「白いお酒」と書きますが、無色透明。アルコール度数は、低いもので36度、高いもので60度程。今は低めの度数のものも増えてきましたが、かつては50度以上が基本だったそうです。これを水や氷、お湯などでは割らずに、そのまま常温のストレートで飲みます。白酒を少し飲むと、喉や身体の中が熱くなっていくのがわかります。たまに飲むと美味しいのですが、なんとも度数が強いので、飲みすぎ注意のお酒です。
火鍋を食べて、温まった身体で外に出たときのピーンと張りつめたような寒さは、「あー、北京だなー」と感じずにはいられません。
「寒い!」「辛い!」と文句を言い、ときにどんよりした気持ちになりながらも、結局のところ、私は北京の厳しい冬の寒さが嫌いではないのだと思います。(アキコ)
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