2015年11月30日15時14分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】正念場のロス国連西サハラ事務総長個人特使 平田伊都子
テロのパリではCOP21首脳会議、無政府状態の中央アフリカ共和国ではローマ法王の訪問、シリア上空ではロシア爆撃機とトルコ爆撃機の一騎打ち、、そしてシリア地上では過激派組織ISに処刑された3591人の血が流されてきました。 何一つ平和解決の兆しが見えない中、ベテラン・アメリカ外交官クリストファー・ロス国連西サハラ事務総長個人特使が関係地域、アルジェリア、モロッコ、西サハラ難民キャンプ、モーリタニアを回って、2012年から国連交渉を拒絶しているモロッコに平和の包囲網をかけようと努力しているのですが、、
(1) ロス国連西サハラ事務総長個人特使、アルジェリア大統領の歓迎を受ける:
2015年11月23日、ロス国連事務総長個人特使がブーテフリカ・アルジェリア大統領から歓待された。会談にはラマムラ・アルジェリア外務大臣などが同席し、中断している西サハラ難民政府とモロッコとの直接交渉の再開方策を検討した。アルジェリアは40年前から、アルジェリアのテインドゥフに逃げ込んできた西サハラ難民の面倒をみ続けている。
(2) ロス国連西サハラ事務総長個人特使、モロッコで冷遇:
11月25日、ロス国連事務総長個人特使はモロッコの首都ラバトに入った。が、迎えたのは、メズアル・モロッコ外務大臣のみ。モロッコのCORCAS(王立サハラ問題諮問委員会)は、「外務大臣が、サハラはモロッコ領で植民地ではないと断言した。モロッコは、<サハラ地方自治州>というテーマ以外での交渉には応じないと、強調した。さらにモロッコのこの見解は、モロッコ国王が11月6日にご宣託されたモロッコ王命で不動のものであると、伝えた」と、公式発表した。
モロッコ外務省は、ロス国連事務総長個人特使が懇願している<モロッコ占領地・西サハラ本土の訪問>を、改めて拒絶した。
(3) ロス国連西サハラ事務総長個人特使、難民キャンプで歓待:
11月27日、ロス国連事務総長個人特使はアルジェリアにある西サハラ難民キャンプに入った。西サハラ難民と西サハラ難民政府は、ロスを暖かく迎えた。ロスは西サハラ難民に、「パン・ギムン国連事務総長は、11月4日に明言したように、西サハラ紛争の早期打開、特に2007年以降滞っている両当事者の直接交渉再開を目指している」と、西サハラ難民をなだめた。しかし、「いくいく」と言うパン・ギムン国連事務総長の難民キャンプ訪問は延びたままだ。両当事者直接交渉も、なかなかアレンジできない。西サハラ国連代表ブハリは、「西サハラ人のフラストレーションは限界にきている。特に若者たちは国連に不信感を抱き、武装闘争しかないと、叫び出した」と、ロスに懸念を伝えた。
両当事者とは、西サハラ難民政府とモロッコを指す。モロッコの頑なな拒絶に、交渉は暗礁に乗り上げ国連和平工作は道遠しだ。
(4)ロス国連西サハラ事務総長個人特使、西サハラ難民政府大統領と会談:
11月28日、西サハラ難民政府大統領・ポリサリオ戦線書記局長のアブデル・アジズは、ロス国連西サハラ事務総長個人特使と会談した。アジズ大統領は、「西サハラは常に国連を支持し、国連への協力を惜しまない。国連は自らが約束した通り、一日も早く西サハラ人の民族自決権を行使する、国連西サハラ住民投票を施行すべきだ。ズルズルと引き伸ばさないで、具体的な日程を示し、それに向けての両当事者交渉を再開すべきだ」と、ロス国連事務総長個人特使に迫った。
(4) ロスってどんな人?
クリストファー・ロスは1943年にエクアドルで生まれた、アメリカのベテラン外交官だ。アルジェリアとシリアの大使を歴任した後、アメリカ国務省で中東専門家やテロ専門家として働く。2009年1月7日に国連西サハラ事務総長個人特使に任命され、国連憲章と国連安保理に基づく<西サハラ民族自決権>行使の道を探ってきた。モロッコは国連による両当事者の和平交渉を拒否し、2012年にはロス国連事務総長個人特使を首にしろと言った。ここまで言われて、どうしてロスはケツをまくらないのでしょうか?
「マグレブ(北西アフリカ)が戦場になってもいいのか!!」と、西サハラの人々は動きの悪い国連を脅かしています。
12月8日、ロスは国連安保理で関係地域訪問の結果を報告します。 その結果を見て、西サハラの人々は<第14回民族大会>で武装闘争か外交闘争か、、民主的に民族の意思決定をします。
約30万人全西サハラ人が選んだ2000人の代表が、熱い討論を戦わせるのです。
これぞ理想の民主主義ではないでしょうか?
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2015年11月30日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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