2015年12月24日22時44分掲載  無料記事
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核・原子力

反原発市民団体たんぽぽ舎 福井地裁の再稼働を認める決定(差止仮処分の取り消し)に抗議

 反原発市民団体たんぽぽ舎は24日の福井地裁による関西電力高浜原発3、4号機再稼働を認める決定(差止仮処分の取り消し)に対する抗議声明を出した。この決定で2基は法的に再稼働が可能な状態になった。(大野和興) 
 
 以下、たんぽぽ舎ニュースから。 
 
 関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じた福井地裁の仮処分決定を不服として、関電が申し立てた異議申立について福井地裁(林潤裁判長)は24日、再稼働を認める決定(差止仮処分の取り消し)を行った。これで2基は法的に再稼働が可能な状態になった。 
 
 すでに西川福井県知事は今回の決定を知っていたかのように司法判断も待たず、22日に再稼働に同意している。これで再稼働への手続きは完了したとして、関西電力は核燃料の装荷を開始する。 
 しかし30キロ圏内の自治体、滋賀県や京都府の自治体の意見は無視されたまま高浜町長や福井県知事だけで決める行為は誤りである。3.11以後の日本では立地自治体や県だけで是非を決めることはできないというのが福島第一原発事故の教訓である。仮処分決定の意義は、そこにもあった。 
 
 仮処分は昨年12月に、原発が再稼働された場合「人格権を侵害される具体的危険性がある」として申し立てた。これに対して4月14日に福井地裁(樋口英明裁判長)は関電の安全対策の不備や規制委の新規制基準の不合理性を指摘し、再稼働差し止めを命じる決定を出していた。これに対して関電が異議を申し立てていた。 
 差止の仮処分とは、本訴訟では判決確定までに時間が掛かりすぎ、原告の権利が守れないと判断されたときに、暫定的に行われる手続きである。その判断を一旦下した同じ裁判所で覆えすことは、二重の権利侵害になる行為である。 
 
 これと同時に大飯原発3、4号機の差止仮処分の決定も却下された。こちらは福井地裁で5月21日「関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め」を命じる判決をくだしているので、決定と判決が逆転してしまっている。 
 「生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である」とは、判決の理念だが、差止決定も同じ考え方に立つべきであった。 
 
 これらの決定は、いずれも国の原発推進の方針(行政の意思決定)が、裁判所の判断(司法の意思決定)を変更させるものである。三権分立は権力が一つの機関(政府)に集まることにより権利の濫用を防ぐための仕組みだが、今の政府は権力を集中して行政、立法権を一本化しつつある。これに司法権をも加えた権力集中をもくろんでいる。すなわち立憲主義の根幹を破壊している行為だ。 
 差止決定を出した樋口裁判長を神戸家庭裁判所に異動させ、新たに3名の判事を着任させての逆転決定である。狙いは差し止め判決と決定を覆そうという魂胆だった。 
 
 政府により原発再稼働を最優先する行為は、次の原発事故を引き寄せる行為に他ならない。 
 私たちは、これからも粘り強く運転をさせない取り組みを続けていく。 


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