2015年12月25日17時25分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】難民だって民主主義 平田伊都子
見ました、聞きました、撮りました、西サハラ難民キャンプの大洪水の爪痕は酷いものでした! 10月17日から10日間振り続いた大雨は、難民自家製の泥小屋を溶かし流して砂漠にしてしまいました。 外国人レセプションセンターも崩壊したので、200人の訪問者は数人に分けられ、受け入れてくれる家族のもとに案内されました。 我々には、廃物になっていたつぎあての古いテントが用意されていました。 我々客人は、8人の家族をユニセフ(国連児童基金)がくれた小さいテントに追いやったことになります。 三度の食事はその家でお世話になりました。 以下に、第14回西サハラ民族大会見聞記を記します。
大会が開催された約3キロ四方のダハラ難民キャンプには、約6万の難民が住んでいます。
(1)2015年12月16日午前11時、外国人訪問者のダハラ難民キャンプ到着を待って、3時間遅れで、4年に一度の第14回西サハラ民族大会が開始された。参加者全員起立で、「蛍の光」に似た国歌を西サハラ児童合唱団と西サハラ軍楽隊の伴奏で、斉唱。アブドル・アジズ西サハラ難民大統領が、「これから、西サハラ民族の運動方針を討議する。武装闘争か和平交渉か?最終予定日の12月20日に、投票で最終決定する。大統領や閣僚も同様に選挙で決める。まずは、4年間の政治的、外交的成果を報告する」と、2時間にわたる長い演説をした。午後2時から午後4時まで昼食タイム。午後6時から来賓挨拶、、これが長い、特にアルジェリア人はマイクを握ったら離さない。しかも、西サハラ難民キャンプの大家だから、会場主催者も気を使って時間制限や時間ストップをかけない、、しかもしかも、数が多い。途中でベルギーNGO代表、フランスNGO代表、ドイツNGO代表などなどが演壇に立ったが、またしてもアルジェリア人がマイクを奪回。午後11時、聴衆は疲れて自然散開、、。
(2)12月17日午前11時、来賓アルジェリア人の大音響演説で第14回西サハラ民族大会が再開。何を喚いているかって?みんな同じ内容で、西サハラ難民の独立運動を讃え、アルジェリアの弛まない支援を約束し、国連に国連西サハラ住民投票を促していた。アラビア語の美辞麗句がいささか違っているだけだ。それから、ロシアNGO代表、イタリアNGO代表、スウェーデン代表、などが西サハラ人民の勇気を称えた。キューバ代表、メキシコ代表、そして同宿のペルー社会党党首やモンテヴィデオ社会党党首などの「ヴィバ・サハラウィ!(西サハラ人万歳)」で会場は盛り上がった。結局、午後3時まで来賓挨拶が続いた。午後7時、会場の扉が開いた、が、外国人には閉じられた。「入れておくれよ」と、扉を守る兵隊に頼んだが、「これから西サハラ人だけの重要討論がある。外人はダメ」と、断られた。しかたなく待合室で運を待っていたら、きたきた、、親友ベイサットが国連交渉団と西サハラ外交のトップをずらり揃えて入ってきた。小さいハンディ・カム・デジタルカメラの前に、ムロウド西サハラ難民政府アジア担当大臣、ハッダードMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)西サハラ難民政府代表、ベイサット西サハラ難民政府ワシントン代表、ブハリ西サハラ国連代表、シダテイEU西サハラ難民政府代表、、と並んだ。いや〜ビックリ大プレゼント!一人一人、順番にインタヴューをさせていただいた。その中で、ブハリ国連代表が、「日本は恥ずかしいよ、日本モロッコ漁業協定の中に、西サハラ領海も含めているのは、国際法に違反する犯罪行為だ」と、日本を厳しく批判した。
(3)2015年12月18日、この日も外国人はシャットアウトの西サハラ民族大討論。そういう時は、討論に飽きて外の空気を吸いに来る重要人物をインタヴューする。筆者はもっぱらモロッコ占領地・西サハラから命がけで出てきた人々を追いかけた。17年間モロッコ監獄に収監されていたアハメド・サーレハ人権活動家、弟をモロッコ警察に殺されたダンバル、、などなど。みんなに拙著「ラスト・コロニー(148P)」のモロッコ警察に不法逮捕された占領地活動家たちの写真を見せていたら、「アッ、それ、俺だ!」と、声が上がった。声と写真の主は モハンマド。モロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンで、平和デモに参加したというだけでモロッコ警察に逮捕された。3年間、監獄に繋がれ、釈放されたばかりだった。「うまくモロッコ占領地・西サハラに帰れるの?」と、質問すると、「4,5日、留められるだろうね、、しょうがな〜い」と、ケロっと答えた。
2015年12月19日、この日もまた外国人シャットアウト! 会場は諦めて、お世話になっている一家の娘・マハジューブちゃんの案内で、洪水被害跡を撮って回りました。 第14回大会は予定の20日には終わらず、3日の延長が決まりました。 3日は5日の延長となることもあるとか?、、なんといっても砂漠の民、我々と時間の感覚が違います。 夕方4時、他の難民キャンプを取材することにしました。 一人旅は気楽です。
日本でメリークリスマスを迎えました。もう長いお話し合いは終わっているかな??
とにかく、砂漠の民は話し好き、お客好きです。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2015年12月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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