2016年01月13日07時25分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】国連事務総長の約束 平田伊都子

 何でもある日本に、ただ一つないものが砂漠で、日本人にとって遠い存在でした。北アフリカのサハラ砂漠は、アルジェリアを中心にモーリタニア、マリ、ニジェール、リビア、、と広がりアフリカ大陸の三分の一を占め、USAと同じ面積です。その最北西端にあるのがモロッコ占領地・西サハラで、未だに<アフリカ最後の植民地>という汚名を着せられたままです。植民地から独立しようと40年以上闘っている西サハラ難民を紹介くれたのが、サハラ砂漠の南端にいたトアレグ難民です。サハラ砂漠北端の西サハラ人と、サハラ砂漠南端のトアレグ人とは同一民族ではありませんが、同じ勇壮なベドウィン・砂漠の遊牧民です。ところが2013年1月13日、天然ガス精製プラントが襲われ、サハラ砂漠が日本人にとても近い存在になりました! 
 
(1)2016年、アルジェリア人質事件から3回忌: 
 日本もテロや難民問題をから目を背ける事ができなくなった。犯行現場イナメナスはアルジェリア・サハラ砂漠の東端にあり、イナメナスから真西に2000キロ離れた西端の西サハラ難民キャンプも、同一犯の襲撃を受け欧米の支援活動家3人が誘拐された。 
 アルジェリア人質事件の際、主犯のムフタール・ベル・ムフタールがトアレグ族反乱を利用して「<トアレグ聖戦>を潰そうとする欧米への報復」と、犯行声明を出す。とばっちりを受けたのが、トアレグ族と西サハラ難民。<トアレグ独立運動>を潰したいフランスはトアレグ族に、西サハラ独立運動を潰したいモロッコは西サハラ民族にテロリストのレッテルを貼る。トアレグも西サハラもテロリストどころかテロ犠牲者だ。ムフタールはガラダイヤ・オアシスの定住民で、遊牧民ではない。 
 
(2)オバマ政権は西サハラに対するモロッコ領有権を認めず: 
 2016年1月10日、アメリカ国務省は2015年末にアメリカ議会が承認した対モロッコ財政援助の中には、モロッコ占領地・西サハラは含まれていないことを明らかにした。アメリカは、「西サハラはモロッコ領土内にない」という、これまでの立場を変えていないことが明確になった。2016年12月18日にアメリカ議会がモロッコ財政援助を承認したことを受けて、モロッコは「モロッコ・サハラ(=西サハラ)をアメリカが承認」という宣伝工作を繰り広げたが、モロッコの勝手なでっち上げだとばれた。モロッコは西サハラ難民にテロリストのレッテルを貼ろうとしたが、失敗した。昨年末から今年にかけて、モロッコ情報機関は不気味に口を閉ざしている。どんな悪計を企んでいるのだろうか? 
 
(3)新西サハラ政府: 
 第14回西サハラ民族大会で大統領と28名の西サハラ独立運動組織の幹部が選出された。2016年1月10日の幹部会議で、新しい西サハラ政府の閣僚と外交団が選ばれた。外交闘争の継続を決定した新西サハラ政府にとって、世界に送る大使や代表は一番重要な最前線戦士である。サレク外務大臣、シダティEU担当大臣、ハムディ・アフリカ担当大臣、モハメド・モロッコ占領地担当大臣、ムロウド・ワシントン代表、ハムデイ・アルジェリア大使、サデイク・ナイジェリア大使、エッスガイヤ・南アフリカ大使、レクビル・アラブ諸国大使、、などなど。大使を送る諸国には西サハラ大使館があり、これらの国々は正式にRASDサハラ・アラブ民主共和国を承認している。約80か国がRASDを承認しており、スウェーデンがEU圏内として初めての承認国になると期待されている。 
 
(4)国連事務総長の約束を信じた西サハラ民族大会: 
 1975年、難民キャンプに逃げ込んで以来、1991年、国連西サハラ住民投票を約束して以来、西サハラ難民は西サハラ国内難民も含め、ひたすら国連西サハラ住民投票を待っている。しびれを切らせた30万の西サハラ民族は、「国連を信じて政治闘争を続けるか?それとも武装闘争に転じるか?」を決めるため、第14回西サハラ民族大会を開催した。2015年12月16日から各難民キャンプや占領地域で選ばれた2155人が、一番遠いダハラ難民キャンプに集まった。5日の予定が数日間延長されて、大統領が再選され28人の幹部が投票で選ばれた。西サハラの難民も被占領民も兵士も、誰も戦争なんて望んでいない。 
 2015年12月8日に、ロス国連西サハラ事務総長個人特使がニューヨーク本部で、2016年1月には西サハラを訪問すると発表した。この言葉を信じ、難民政府の外交闘争を承認し、西サハラ民族大会は、しばし銃を置くことにした。 
 
 しかし、映画のセットのような仮設会場を出ると、目の前に広がるのは2015年10月末の大洪水で泥と化したキャンプ地。 復興意欲を失くした西サハラ難民たちが、肩を寄せ合って命を繋いでいるのです。 もし、国連事務総長がまたもや約束をはぐらかしたら、、西サハラ民族はどう出るのでしょうね?? 
 
 我慢強いとはいえ、西サハラ砂漠の遊牧民には、不屈、不帰順の精神も流れていることを忘れてはいけません。 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2016年1月13日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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