2016年02月17日00時20分掲載
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コラム
捨てられるパンを見て 木村結
30年くらい前、有名なチェーン店のパン屋さんの閉店時、店員さんが何枚もの黒いゴミ袋を広げてトレーを傾げて残ったパンを全て入れていた。呆然とその様子を見ていたが、彼女たちは悪びれる様子もなく、幾つものパンパンに膨れたゴミ袋の口を縛りお店の裏に積み上げていた。それから街でよく見かけるそのパン屋さんでパンを買ったことはない。
たまに通る乗換え駅の改札付近に同じパン屋さんがある。そこでは残ったパンを幾つか袋に入れて安く売っている。それでも夜遅くまで店頭に残っているからきっと捨てるのだろうな、と思うと心が痛む。東京駅ではランチタイムにパンの食べ放題があり、そこも同じパン屋さんたった。毎日残るのが分かっていて、捨てるほど作るのは何故なのだろう。山のように飾らないと売れないと思い込んでいるのだろうか。その材料はどんな人びとが作っているのか思いを馳せたことはあるのだろうか?
日本の食料自給率は30%程度。世界各地から買って来た食料を平気で捨てている国民。お金を払っているのだからいいのだ、と言う人もいる。世界には今食べる食料もなくひもじい思いをしている人たち、子どもたちがいるのに。
フランスではスーパーで、賞味期限切れの食料を捨てずに、フードバンクに寄付をしなければいけないという法律が制定されたという。素晴らしいニュース。きっと詳しく見れば問題はたくさんあるでしょうが、先ずは素晴らしい一歩であることは間違いない。食料自給率が低い日本こそ、真似すべき法律だと思う。
木村結
東電株主代表訴訟事務局長
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