2016年03月05日02時15分掲載  無料記事
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国際

ND米紙ウィークリーニュース第72号(February 29, 2016)

●目次● 
 
「米 退役軍人 自殺相談コールセンターが留守電に」USA 2/15 
VA suicide hotline in Oscar-winning documentary lets calls go to voicemail 
 
「中国 西沙にミサイル配備 関係国間 衝突リスク増す」NYT 2/17 
Chinese Missiles in South China Sea Underscore a Growing Conflict Risk 
 
「社説:最低賃金15ドル クリントン氏は賛成すべき」NYT 2/17 
Hillary Clinton Should Just Say Yes to a $15 Minimum Wage 
 
「iPhoneロック解除をFBIが要請 アップルは対決姿勢」NYT 2/17 
Apple Fights Order to Unlock San Bernardino Gunman’s iPhone 
 
「原油生産水準の凍結合意 イランは「歓迎」」FT 2/18 
Iran in low-key welcome for oil output freeze 
 
「韓国 北朝鮮によるテロ攻撃に警戒を強める」WSJ 2/19 
South Korea Warns of Possible Terror Attacks by the North 
 
「アンカラ爆弾テロ トルコがクルド人武装組織の犯行と断定」NYT 2/19 
Turkey Blames Kurdish Militia for Ankara Attack, Challenging U.S. 
 
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「中国 西沙にミサイル配備 関係国間 衝突リスク増す」NYT 2/17 
Chinese Missiles in South China Sea Underscore a Growing Conflict Risk 
 
 2月17日付のNYタイムズ紙は、中国が周辺国と領有権を争っている南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)に地対空ミサイルを配備したことで、中国、アジアの関係諸国、そして米国との間に衝突が起きるリスクが高まっていることの背景について報じた。 
 台湾国防部は17日、中国が西沙諸島に地対空ミサイルを配備したと発表。米国防総省も「ミサイル配備を裏付ける証拠がある」と発表した。中国国防省は、南シナ海の島に地対空ミサイルを配備したかどうかについて肯定も否定もしなかった一方、「防衛施設は何年も前から存在している。西沙諸島は中国の領土であり、国家主権や安全を守るために防衛施設を設置する権利がある」と述べ、一部西側メディアの報道を否定した。 
 16日には、米国カリフォルニア州で米・ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議開かれていた。この会議でオバマ大統領は、航行自由の原則をあらため強調し、各国首脳と中国による南シナ海での軍備増強をやめさせる必要性について議論した。アメリカ政府は、南シナ海の領有権問題について中立的姿勢を取っている。 
 これに対し同紙は、現役または元米政府関係者による「中国が南シナ海で領有権を主張し、人工島建設やミサイル配備などの強硬手段を行ったとしても、米政府は慎重姿勢を変えない」との見解を紹介し、米政府が中国との軍事衝突は回避したい考えを持っていると報じた。米国が事態の推移を慎重に見守る背景として、南シナ海での中国の海洋進出にどう対処するかをめぐり、ASEAN12カ国の間で意見が割れていることに一因があると同紙は見ている。 
 関係国間にあるこうした意見の相違は、米国とASEAN首脳らがASEAN首脳会議閉幕後に採択した共同声明でも明らかになった。共同声明では、航行自由の原則を遵守し、海洋紛争は平和的に解決されなければならないという内容が盛り込まれたものの、「南シナ海」と「中国」は具体的に明示されなかったからだ。 
 同紙によると、海洋国家であるフィリピンやベトナムが中国の実効支配強化を積極的に牽制する考えを明らかにしている一方、大陸国家であり中国との間に密接な経済連携をもつラオスやカンボジアは中国との衝突を避けたい考えだという。 
 
「原油生産水準の凍結合意 イランは「歓迎」」FT 2/18 
Iran in low-key welcome for oil output freeze 
 
 2月18日付のフィナンシャルタイムズ紙は、ロシアやサウジアラビアなど4カ国によって合意された原油生産水準の凍結について、イランが歓迎する意向を示したと報じた。 
 イランのザンギャネ石油相は17日、イラク、カタール、ベネズエラの石油相とテヘランで会談し、原油価格安定に向けた主要産油国の増産凍結合意を支持するとの立場を表明したが、石油生産を抑制するか否かについては明言を避けた。 
 イランにとって、輸出規制の撤廃が核軍縮プログラムへの合意の条件だったことで、今回の合意は国内政治的には難しいと同紙は見ている。 
 イランはすでに1月の制裁解除を受けて原油増産を予定しており、今年は生産と輸出を日量100万バレル増やすことを計画している。ザンギャネ石油相は「石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟国との協力を歓迎し、支持する」とするも、市場の反応を見極めたうえで、必要に応じさらに協議する考えを示すに留めた。 
 
「韓国 北朝鮮によるテロ攻撃に警戒を強める」WSJ 2/19 
South Korea Warns of Possible Terror Attacks by the North 
 
 2月18日付のウォールストリートジャーナル紙は、韓国政府が、北朝鮮のテロ攻撃について懸念を表明したことを報じた。 
 同紙によると、韓国政府は同国議会に対し、諜報機関の監視権限を与える法案を認めるよう求めたという。 
 朴槿恵韓国大統領の報道官は18日、国家情報院から提供された情報を引用し、北朝鮮が韓国へのテロ攻撃への準備を行っているようだと発表。キム・ソンウ首席秘書官は会見で、「金正恩第1書記は、まさに韓国人への生活や安全を脅かすようにテロへ全て取り組み集中するように指示した」と発表した。 
 報道官は、この情報をどのような経緯で入手したかなどについての詳細は明らかにしなかったが、同日行われた国家情報院の打ち合わせに出席した議員が地元メディア明らかにした情報によると、テロの標的として地下鉄やショッピングモールのような公共施設が挙げられているという。 
 
「アンカラ爆弾テロ トルコがクルド人武装組織の犯行と断定」NYT 2/19 
Turkey Blames Kurdish Militia for Ankara Attack, Challenging U.S. 
 
 2月19日付のNYタイムズ紙は、トルコ政府が、17日に首都アンカラで起きた大規模爆撃テロは、米国からの支援を受けているシリア系クルド人勢力の犯行と断定したと報じた。 
 トルコのアフメト・ダウトオール首相は、テロ翌日、オバマ政権に対して「トルコを含むNATO同盟国側につくのか、それとも敵側につくのか」と回答を迫り、米・トルコ間の関係は緊迫したと同紙は伝えている。 
 さらに同紙は「今回のテロは米国の中東における政策の問題点をあぶりだしている」という批評家の見方を紹介。第一次大戦以降続いているとされる代理戦争など、中東地域全体の混乱にもかかわらず、米国はISISなど過激派のみに焦点を当てて攻撃してきたことに問題があると同紙は指摘している。 
 テロ事件を受けて、オバマ大統領は直ちに犯行を強く非難する声明を発表し、「この犯行主体を探しだす作戦において、我々はトルコ政府を全面的に支援する」と述べたという。しかし、関係筋によると、オバマ政権の関係者らは、実行犯の断定を時期尚早とみており、クルド人武装組織のイラク北部の拠点を標的にした空爆を控えるよう指示したと同紙は伝えている。 
 
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