2016年03月06日11時49分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】国連事務総長、西サハラ難民キャンプ入り 平田伊都子

 こんなに待ち焦がれられたことは、国連事務総長としても初めてのことだったに違いありません。 なにぶん何もない難民のことゆえ、贅沢なおもてなしはできなかったけど、甘茶とザグラダと、熱い想いが籠った大歓迎を受けました。 難民テントで待ち続けた40年、住民投票の約束を貰ってから25年、恋い焦がれてきた国連事務総長の、初のお越しなんですから、、 
 甘茶は砂漠の民・西サハラ民族定番のおもてなしで、ザグラダは感極まった時に出す女性の悲鳴です。 国連事務総長・訪問に関して西サハラ難民政府からの写真と情報を中継します。 
 
*2016年3月5日朝(日本時間3月5日の夜): 
 隣国モーリタニアから飛んできた国連専用機が、アルジェリア最西端にあるティンドゥーフ飛行場に着陸した。降り立った国連事務総長ご一行は、パン・ギムン国連事務総長と、クリストファー・ロス国連事務総長個人特使、キム・ボルドクMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)特使など、西サハラ担当の国連高官たちだ。 
 一行はスマラ難民キャンプで、数千人の西サハラ難民から熱烈な歓迎を受けた。難民たちは「この長期にわたる紛争を解決する最良の策は、国連住民投票だ。約束した国連に施行の責任があるのは明白だ。我々は国連の作業延滞にうんざりしている」と、国連事務総長に訴えた。そして、「西サハラ人の民俗自決権要求、占領当局による人権侵害反対、占領当局による西サハラ天然資源略奪反対、」と、第14回民族大会で決定したスローガンを、パン・ギムン国連事務総長に提出した。一行の接待係はモハンマド・ハッダードMINURSO西サハラ側交渉団員、ハマ・サラマ内務大臣、そしてスマラ難民キャンプ代表などで、一行は難民全寮制中等高等学校にも連れていかれた。 
 それから、パン・ギムン国連事務総長は予定通り、ラボニ西サハラ難民センターでアブデル・アジズ西サハラ難民政府大統領兼ポリサリオ戦線書記長との会談に臨んだ。 
 
*2016年3月5日の夕方(日本時間3月6日の早朝): 
 ご一行はラボニ西サハラ難民センターから約150キロ砂漠に入った ビル・ラハルに連れて行かれた。ビル・ラハルとは、甘い井戸という意味のアラビア語で、名前の通り、地下水のある小さいオアシスだ。1991年、国連が西サハラ住民投票を提案してモロッコと西サハラ・ポリサリオ戦線が停戦した直後、モロッコはビル・ラハルを空爆し、井戸に毒薬をばら撒いた。 
 その後、ビル・ラハルに泥小屋の基地が建てられ、西サハラ難民政府はモロッコの妨害を避けるため、電気も電話もないこの奥深い砂漠で作戦を練っている。 
国連事務総長ご一行の接待係は、アハメド・ブハリ西サハラ難民政府の国連代表とビル・ラハル難民軍幹部が務めた。 
最近になってビル・ラハルの地下に石油と天然ガスが眠っていることが判明した。「<ビル・ナフト>と、地名を変えたいね」と、筆者が以前に訪れた時、この基地を護る難民兵が自慢げに語っていた。<ナフト>とはアラビア語で油のことを言う。国連が未確定地域と指定している西サハラの天然資源を掘削することはできないが、将来を見越して西サハラ難民政府を受け皿に入札することは可能だそうだ。日本も遅れを取らないで、早く入札しようヨ! 
 
 当初、モロッコ入りを予定して、国連政治局アフリカ第2課は3月17日まで西サハラ地域視察スケジュールを組んでいたのですが、モロッコから拒絶されました。 国連はモロッコに気を使って西サハラ公式訪問日程は、「テインドウーフにある西サハラ難民キャンプに近いラボニを訪れ、ポリサリオ戦線書記長と会い、国連職員を慰問。その後、ビル・ラハルに移動しMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の要員を激励」と、発表しました。 しかし、2012年から国連主導の和平工作を頑なに拒否し続けるモロッコは、今回も国連事務総長の訪問を断ったのです。 結局、国連事務総長は西サハラ難民の大歓迎と要望を受け入れ、西サハラ難民政府が仕切る西サハラ解放区だけを訪れることになってしまいました。 
 やばいよ、モロッコ、、北朝鮮のように孤立してしまうよ!  早く国連交渉の場に戻っておいでよ。 
 国連事務総長は西サハラ難民キャンプからアルジェリアに立ち寄り、その後、難民の味方をしているドイツ指導者・メルケルに会いに行ったよ!! 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2016年3月6日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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