2016年03月14日00時47分掲載
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文化
金時鐘先生「大佛次郎賞」受賞のお祝い会 伊地知紀子(大阪市立大学教授)
今日は、済州4・3事件公開学習会をKCC会館にて。
徐仲錫先生(韓国・成均館大学校名誉教授)をお迎えし、「朴槿恵政権下の済州4・3運動の課題」というタイトルで韓国歴史教科書国定化問題と済州4・3についての学習会でした。2017年が朴正煕生誕100年という節目にあたり、これに向けた動きを指摘しておられたのはなるほどと思いました。
いろいろ催しや集会が重なるなか、たくさんの方が来てくださり、終了後は、このたび『朝鮮と日本に生きるー済州島から猪飼野へ』(岩波新書)で「大佛次郎賞」を受賞された金時鐘先生のお祝い会となりました。
東京から金石範先生も来られ、いつもの顔ぶれが集まり、最初からリラックスした感じで始まりました。花束贈呈では、金時鐘先生が花束を受け取るなり体のバランスを崩され、「重い花束をもらった演技をしようと思って」とみんなを笑顔にしてくださいました。
ご両親が、売れるものはすべて売り払い金時鐘先生を日本へ送り出した後、看取るものもなく亡くなられた話をされ、金石範先生が「死者は生者のなかで生きている」と語られました。困難な時代に済州4・3に向き合い、次世代へと引き継ぐ課題をうんでくださったお二人を囲んでの心に染みる席でした。
伊地知紀子 (大阪市立大学教授 文学研究科)
※済州4・3事件
「1948年4月3日に在朝鮮アメリカ陸軍司令部軍政庁支配下にある南朝鮮(現在の大韓民国)の済州島で起こった島民の蜂起にともない、南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察、朝鮮半島本土の右翼青年団などが1954年9月21日までの期間に引き起こした一連の島民虐殺事件を指す」(ウィキペディア)
※金時鐘さん(詩人)
済州4・3事件に関わったために当局から追われ、日本に渡った。『猪飼野詩集』『原野の詩』『失くした季節』ほか
※金石範氏(作家)
済州島出身の両親のもとに大阪で生まれた。『火山島』『国境を越えるもの 「在日」の文学と政治』ほか
■伊地知 紀子教授の著書には以下のものがあります。
『消されたマッコリ。-朝鮮・家醸酒(カヤンジュ)文化を今に受け継ぐ-』社会評論社
『在日朝鮮人の名前』明石書店
『生活世界の創造と実践−韓国・済州島の生活誌から−』御茶の水書房
■済州島からの訪問者
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■月命日コラム 伊地知紀子
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