2016年03月21日13時49分掲載
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中国
三十路女子の北京的生活(3) 〜中国の年越し
春節が過ぎると、暖かい日も増え、陽も長くなり、北京にも、少しずつ春が近づいていることを感じます。
それにしても、中国の年越しは本当ににぎやかです。日本の年越しに鳴らすのは除夜の鐘ですが、中国では爆竹と花火で新年を迎えます。それも、花火会場のような特別な場所が設けられているわけではなく、その辺にいる近所のおっちゃん達が住宅街で打ち上げるのです。
また、爆竹と花火はいつでも鳴らして良いというわけではなく、大体、旧暦の大晦日から旧暦の1月15日までと、鳴らしても良い期間が決められています。そのため、春節が近づくと、街には爆竹と花火を売る特設のお店が設けられます。
近年では、北京での大気汚染問題もあり、政府はポスターなどを張り出し、「新鮮な空気の中で春節を過ごそう」と、なるべく自粛するように呼びかけていますが、それでも、北京の人たちにとって春節と爆竹と花火は、切り離すことのできない、この季節ならではの楽しみとなっているようです。何年か前、北京の中心地で禁止になった時には、市民からもの凄い不満の声が上がり、政府はそれを受け、また許可するようになったそうです。
北京で初めて年を越した時は、突然鳴り出す激しい爆竹の音や、家の窓から見える立派な打ち上げ花火に、何が起きたのかとびっくりしました。特に、夕方から夜にかけては激しさを増し、あちこちで爆竹と花火を鳴らし始めるので、危険で迂闊に外を歩けません。「ちょっと様子を見に行ってみようかなぁ」と思い、外に出てみたものの、あちこちで火花が上がり、銃撃のような音がするので、怖くて、すぐに退散して家に引き返してしまいました。そのぐらい、もの凄い激しさなのです。
知人の中国人は、「今度はあなたもやってみたら?」と気軽に言いますが、私からすると、とてもそんなに気軽に出来るようなものではありません。ニュースを見ていると、毎年、ケガをする人も出ているようです。中国版ツイッターの“微博”を見ていると、「〇〇区で、〇〇歳の男性が、花火を誤って顔面に当ててしまい、大やけど。みんな気をつけて!」などと報告されています。「そんな危険を冒してまでやりたいんだなぁ」と、少し不思議な気もしますが、きっと彼らにとっては大事なことなのでしょう。
そもそも中国では、爆竹を鳴らすという行為には“厄を払って福を呼ぶ”という意味が込められていて、結婚式などでも爆竹を盛大に鳴らしています。爆竹と花火を鳴らしている人たちが、そういう伝統を大事にしてやっているのか、それとも、ただ単にやりたくてやっているのか分かりませんが、とにかく楽しみにしていることだけは確かなようです。
年越しの時に続いて、再び爆竹と花火が大きな盛り上がりを見せるのは、春節の最終日。この日は「元宵節」という日で、新年最初の十五夜。月を見ながら、“湯圓(タンユエン)”“元宵(ユエンシャオ)”と呼ばれる白玉団子のようなものを食べ、家族団欒するのが伝統です。花火と爆竹を鳴らせるのも、この元宵節の夜の12時まで。日付を過ぎると、次に鳴らせるのは、また一年後の年越しの時です。
北京に来た最初の年、春節の爆竹と花火の激しさに驚いた私も、今では家で湯圓を食べながら、窓の外に見える打ち上げ花火を見るのが、お決まりの過ごし方になりました。(アキコ)
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