2016年04月10日04時12分掲載  無料記事
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コラム

新聞と病気 本当は早期治療ができる

  病気は少しずつ進行していくことが多く、ガンもまた1つの細胞の異常から始まり次第にそれが大きくなって1つの臓器を侵しはじめやがては転移して全身に蔓延していく。そのガンをチェックする予防診断技術は年々精度が上がってきている。これは医学の分野。 
 
  社会的な分野でも医学と同様のことが言えると思うのは「社会科学」とか歴史学などの学問があるように科学的な研究対象になっていることから。たとえばどんなカタストロフィでも、最初は1つの細胞の変異から起きるのに似ていて、1つの異変を追っていけばやがて増殖して生体を死滅に追い込んでいく。新聞を読んでいると、小さな細胞から異常が次第に大きくなっていくさまが手に取るように見えるもので、もし医学において早期発見・早期治療ができるのであれば、社会問題とか国際問題においても早期発見・早期治療は可能だと思える。 
 
  しかしながら、今日に至ってもそれができていないのは技術的な不可能性ではなくて、利害関係によってそれを滞らせようとする意志が働いているからだと思う。メディアにおいても、報道が常に手遅れである理由は手遅れになった時、初めて悲惨なビジュアル的映像が撮影できて、商品価値が高まり、感動や涙を誘うことができるから。ここで20世紀のドキュメンタリーの傑作を思い出すと、アウシュビッツ、ヒロシマ、水俣・・・悲惨さのビジュアル的商品力によるところが大きいと思う。 


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