2016年04月16日11時28分掲載
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欧州
シャパットの風刺漫画 英国首相キャメロンの疲れ パナマ文書が政治家を直撃
英国首相のデビッド・キャメロンが大きなスプーンをくわえて「銀のさじ」を申告するのを忘れていた」とつぶやいている。
これはニューヨークタイムズに掲載されたパトリック・シャパット(Patrick Chappatte)の1コマ漫画。最近、パナマの法律事務所の顧客リストが暴露され、タックスヘイブンに富を移転して課税を逃れていた世界中の人々がそこに記載されていた。英国首相デビッド・キャメロンの亡き父親の名前もそこにあり、キャメロン自身の名前はなかったが、彼の父親がパナマに開設した投資ファンドに投資して利益を得ていたことが報じられ、英国民から「辞任しろ」という声が上がっている。
さらに追撃のように父親が亡くなった2010年に30万ポンド(約4500万円)の遺産を受け取り、翌年母親から20万ポンド(約3000万円)の贈与を受けていたことが発覚し、これは父親がオフショアファンドに設置した英国の課税を回避して得たファンドの利益ではなかったのか、と議会やメディアから追撃を受けている。
「銀のさじ」は生まれながらに恵まれた人びと、幸運な星のもとに生まれた人々を指す言葉である。キャメロン首相も裕福な家庭に生まれ、名門オックスフォードを出ている。そういう人々はともすると、自分の幸運をもっぱら自分の人徳や努力で得たものと解釈しがちである。だから、貧乏な人々や恵まれない人々に「もっと努力をしろ」と臆面もなく説教する傾向がある。今日、世界中の政治家が格差を容認している傾向にはそうしたメンタリティがあるのではないか、シャパットの1コマ漫画はそういうことも暗に示唆している気がする。英国ではキャメロン首相になってから学費が大幅に値上げされた。2010年の暮れに学費を1年で最大9000ポンド(約140万円)まで値上げすることを認める法案が成立したからだ。だが、そうした実態は英国首相だけではない。
シャパットの漫画で注目させられたのはキャメロン首相の顔で、額には何重にもしわがあり、首相に就任した2010年には漂っていたオックスフォード出の青年のような若々しい印象はまったくないことだ。6月には英国が欧州連合にとどまるかどうかの国民投票を予定しているが、問題提起して国民投票を実現させようとしてきた保守党の首相の求心力は衰えているようである。
■シャパットの漫画サイト
http://www.globecartoon.com/
ここにキャメロン首相を描いた最近の漫画もある。
■学費格安コースを導入する大学も 来年度から英大学で学費値上げへ(2011年の記事)
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