2016年04月30日17時12分掲載
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反戦・平和
シベリア立法推進会議&シベリア抑留者支援・記録センターが外務省に「日ロ首脳会談に対する要望書」提出
シベリア立法推進会議とシベリア抑留者支援・記録センターは4月27日、「日ロ首脳会談に対する要望書」を外務省に提出しました。
4月18日に衆議院第2議員会館で開催した「日ソ捕虜・収容所協定25周年記念の集い」で出されたご意見などをふまえたもので、外務省は北川剛史欧州局ロシア課首席事務官が対応、民進党シベリア議連事務局長の那谷屋正義参議院議員が同席下さいました。
要望内容に対して、北川事務官からは、個人的な見解と断りながら、以下のコメントがありました。
1) かつてのエリツィン大統領のような謝罪の言葉があればよいと我々も思うが、現在ロシアは、第2次大戦の最大の犠牲を出した戦勝国であることを強調しており、スターリン時代に戻ったような印象すらあり、期待できないのではないか。
2) 新協定締結に関しては、1991年の現協定の活用を考えていて、新たなものは考えていない。
3) 諸事業の趣旨は理解するが、担当部署・費用の問題もあるので、他の関係省庁にも伝える、検討を要する。
引き続き、日露両政府に働きかけを続けていく予定ですので、ご協力をお願いします。
【日ロ首脳会談に対する要望書】
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
私たちは、1945年以降にソ連軍によって拉致され、シベリアやモンゴルに強制移送され、奴隷労働を強いられた日本の元捕虜や民間人の抑留問題に長く取り組んできました。
「戦後70年」を経て、今年は1956年「日ソ共同宣言」から60周年を迎える節目の年ですが、総理が日ロ平和条約締結に向けて積極的な努力を重ねておられることを評価し、歓迎します。
戦後70年もたつのに、隣国ロシアとの間に平和条約がなく、交流が広がっていないことは不自然で、残念なことでした。元抑留者の多くは、多大な犠牲を強いたソ連という国に複雑な感情を持ち、いまだに恨みもありますが、ソ連・ロシアの市民に対する印象は否定的ではありません。墓参や遺骨収集で多くの元抑留者や遺族がロシアを訪れ、市民レベルの交流を重ねてきました。もっと自由に往来し、経済的な協力関係も深まるよう望んでいます。相互理解と和解を進めるべきだと考えています。
同時に、これまで行われてきた抑留の実態解明や遺骨の調査・収集事業に関しては、大変不満を感じています。ロシア側に抑留加害国としての責任の認識が浅く、日本側主導の作業では真相究明が進んでいないことを残念に思います。
そこで、5月6日にソチで予定されている日ロ首脳会談においてプーチン大統領に以下のことを求めていただけますよう要望します。
1.シベリア抑留についてのプーチン大統領の見解の表明
1993年訪日時のエリツィン大統領による謝罪は記憶に残っていますが、以降のロシアの指導者からはシベリア抑留についてどのように認識しているのか、聞いたことがありません。多くの日本人が疑問に思っています。
2.抑留の実態解明・調査へのロシア側の主体的・積極的参加と新協定締結
2010(平成22)年制定の「戦後強制抑留者特別措置法」は国が実態解明に取り組むことを規定していますが、いまも実態解明は進んでいません。遺骨も半数以上が収集されていません。
1991年の「日ソ捕虜・収容所協定」によってロシア側から名簿や情報提供を受けていますが、費用はほとんどを日本側が負担し、それらの解析や集計も日本側が行っています。
ロシア側も責任者と綜合調整機関を置き、費用も分担し、民間の専門家も加わって、日ロ共同で実態解明に取り組むべきです。そのための基金を日ロ共同で設け、共同調査委員会をつくって、双方主体的かつ戦略的に実態解明、遺骨調査・収集を集中的に実施すべきです。
そして、両国で共同して活用できる全抑留者のデータベースをつくり、検証を重ねて、5年程度で共同の政府調査報告書をまとめて公式に発表すべきです。
それらの行動計画を含む新協定を締結することが肝要です。
3.記憶と歴史の共有のための共同事業
上記の調査・実態解明に基づき、元抑留者らが関わった建造物や作業場跡地などに歴史を伝える銘板を掲示し、日ロ両国による共同の追悼式典開催や関係者の招待や交流、歴史教科書記載事項の共有などによる相互理解と記憶・歴史共有を促進することが必要です。
当事者・遺族・研究者だけでなく、広く両国民が記憶と歴史と反省を共有することを望みます。
こうした具体的な努力を重ねることによって、日ロの関係改善を阻む歴史的なとげを取り除き、真の相互理解と友好を進めることができると信じます。急がば廻れで、誠実な作業を双方協力して集中的に進めることが大切です。
実りある首脳会談となりますよう心よりお祈りいたします。
2016年4月27日
シベリア立法推進会議 代表 池田幸一
シベリア抑留者支援・記録センター 代表世話人 有光健
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