2016年05月03日01時19分掲載
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反戦・平和
「韓国・朝鮮人等元BC級戦犯者特別給付金支給法案」成立なるか!?
1925(大正14)年に韓国全羅南道宝城郡で生まれた李鶴来(イ・ハンネ)さんは、今年で御年91歳を迎えた。
17歳で日本軍の捕虜監視員に応募し、タイの連合国戦争捕虜収容所において泰緬鉄道建設に使役した捕虜の監視業務に従事したために、戦後、捕虜虐待の罪に問われ、シンガポールの軍事法廷でBC級戦犯として裁かれて死刑判決を受けている。
その後は懲役20年に減刑されて日本の巣鴨プリズンに移送され、11年間に及ぶ拘留期間を経て、釈放されたのは31歳を迎えた1956(昭和31)年のことであった。
ここから李鶴来さんの日本国を相手とする長い闘いが始まった。釈放後、“日本人”として罪を負わされながら、戦後は“外国人”として切り捨てられたことに対し、日本国から一切の援護や補償を受けない不条理を正すため、そして他界した多くの仲間の無念を晴らすため、歴代29人の日本の首相に陳情したほか、裁判にも訴えたのである。
残念ながら裁判には敗れたものの、「立法を促す」付言判決を勝ち取った李鶴来さんは、今も毎週国会に通い、日本の国会議員に補償立法制定を訴え続けている。
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この李鶴来さんの苦難と闘い歴史を綴った自伝『韓国人元BC級戦犯の訴え―何のために、誰のために』(梨の木舎)の出版記念会が4月24日に都内で開催された。
2008年に民主党(当時)から提出された“韓国・朝鮮人等元BC級戦犯者特別給付金支給法案”(以下、支給法案)に関わった元衆院議員の石毛えい子さんや円より子さんら多くの出席者が祝辞を述べる中、「韓国・朝鮮人元BC級戦犯者『同進会』を応援する会」世話人の有光健さんは、支給法案の今後について、次のように語っている。
「5月中に支給法案をもう一度、衆議院に提出することができそうです。現在、民進党プラス野党連合で支給法案を出すか、自民・公明両党も巻き込んで一気に成立まで持ち込むかの調整を行っているところです。今年2月下旬から毎週、議員会館に通い、衆参合わせて50人ほどの国会議員の事務所を回ったり、4月14日には日韓議員連盟幹事長の河村健夫衆院議員(自民党)とも面会し、日韓議連で協力して支給法案を提出しようという話にもなりつつあります」
支給法案をめぐるその後の状況であるが、日韓議連は4月18日に開催した総会において、与野党それぞれで支給法案の担当議員を決めた上、超党派による議員立法という形で進めようという話になったようだ。これがベストな方法だろう。
但し、国会会期末も近いということで、与野党での調整が間に合わない場合に備えて、民進党を中心とする野党連合で支給法案を提出する方法も検討されており、2008年頃から熱心に活動を続けている民進党の横路孝弘衆院議員や大畠章宏衆院議員らを中心に、2008年に提出された支給法案を再提出しようとする動きもあるらしい。
日本の国会で動きが出てきたのは、李鶴来さんの執念もさることながら、昨年末の「慰安婦」問題をめぐる日韓合意や今年4月の韓国総選挙の結果も影響しているものと思われる。
今国会の会期末まで残り僅かであるが、せっかく到来したチャンスである。会期内での法案成立に期待したい。(坂本正義)
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