2016年05月07日01時47分掲載
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中国
三十路女子の北京的生活(4) 〜東京より北京で働く方が、家族と健康に良い!?
先日、ある中国語の教科書の中に“家のことを何もしない、丸投げで無責任な夫”という意味の単語が出てきました。
そしてもう一つ、“○○○を言い訳の理由にするな”という言葉が出てきて、その例文として「いつも仕事が忙しいことを言い訳にするな」と夫を責める妻のセリフが書かれていました。
“家のことを何もしない、丸投げで無責任な夫”という意味が4つの漢字で表せてしまうことに「中国語ってやっぱりすごいなぁ」と思うと同時に、「国は違っても、こういうことって、やっぱりあるのね」と想像して笑ってしまいました。
ちなみに、その教科書が出版されたのは2003年のようですが、中国語の先生(30代女性、新婚)に「中国には、今もこういう男性多いの?」と尋ねると、彼女は「これは昔の話。今は多くないよ。食事をつくる男性も増えてきているし。私の友人の男性は、毎日ご飯を作っている」と言います。
私は、以前から「中国の男性は、もし他の人と約束していても、子どもが病気になれば、その約束をキャンセルして家に帰るし、残業を頼まれても、家で用事があれば『残業できない』と言ってきっぱり断るなど、家庭を大事にしているなぁ」と思っていたので、そのことを伝えると、彼女は“当然”という顔で「そうだよ。それに上司も『家で用事があるなら仕方ない』と言ってくれる」とも言います。
仕事して、もし結婚していれば家事もして、子どもがいれば子育てもする。それを日本のように「イクメン」などと言わず、当然のこととしてやる。彼女からそのような話を聞いて「そうかー。本来はこれが普通なのかもしれないなぁ」と思いながら、改めて日本の労働環境について考えました。
そして、私が「残業を断ったり、家庭を大事にしていて、すごいねー」と言うと、彼女は「みんな働くの、好きじゃないから」と笑いながら答えました(といっても彼女自身、とっても真面目に仕事していて、授業でも丁寧に指導してくれます)。
そこで思い出したのが、台湾の友人が以前言っていた言葉。40歳を過ぎている彼は、よく仕事帰りにジムで身体を鍛えているようで、「重要なのは仕事じゃない。健康だ」と言い切っていました。
そのことを彼女に伝えると、「そうそう!その通り!一番重要なのは健康。最近は中国でも過労死があると聞くけど、それでも少ない。やっぱり健康でないと。そして、もうひとつ重要なのが家族。仕事はまた探せばいい」と彼女は言います。
そう言える潔さが、いったいどこから来るのか。彼女は「中国は転職が比較的ラクだし、死ぬほど無理してまで働きたくない。楽しく過ごすのが一番大事」と言います。
それにしても、中国や欧米の人たちと話をしていると、日本の働き方、働かせ方の異常さを感じることが度々あります。
英語ができて欧米人の友人を多く持つ、ある中国人の友人は「欧米人の友人が、このあいだ『北京と東京、どっちで働こうか迷って、結局、日本は環境もいいし便利だけど働き方が大変だって有名だから、北京で働くことを選んだんだ』って言っていたよ」と教えてくれました。
日本の異常な労働環境は世界でも有名になっていて、本当に恥ずかしい限りです。
中国では、飲食店でハッピーアワー(店によって違いますが、大体夕方5時〜8時など)を行っている店が多くあり、「一杯注文すると、もう一杯プレゼント」などのサービスが結構充実しています。夕方早くから、家族や友人たちと楽しそうにお酒を飲んでいる姿も、よく見かけます(残念ながら、北京で働く日本人は、北京でも遅くまで仕事をしている人が多いようですが・・・)。
先日も、北京在住の日本人同士で「日本もハッピーアワー増やして、もっとお得感、出してほしいよね」と話していたら、そのうちの1人が「でも、日本はハッピーアワーの時間から飲めるような社会じゃないじゃん」と。う〜ん、確かに。
もっと日本も、ハッピーアワーに家族や友人たちと飲みに行けるような社会、ラクに残業を断れるような社会になればいいのになぁと思います。(アキコ)
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