2016年06月05日00時42分掲載
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福島から
安全保障関連法廃止を目指す福島での闘い〜「5.15福島県民集会」開催
「戦争反対!」「憲法守れ!」
安全保障関連法の廃止を訴える声が、今年3月29日の施行後も止むことなく福島県でも上がり続けている。
安保関連法が昨年9月に可決・成立してから約8カ月、また施行から約2カ月が経った5月15日、「福島県9条の会」「憲法をいかす福島県民の会」「改憲阻止福島県連絡会」「安全保障関連法に反対する福島県大学・短期大学研究者の会」の4団体が、安保関連法廃止を目指して“一日共闘”の態勢を組み、昨年9月と12月に続く3回目の集会を福島県教育会館で開催し、多くの市民が立場を超えて集まった。
<連帯・共闘が大事!>
主催者を代表して挨拶した坂本恵さん(安全保障関連法に反対する福島県大学・短期大学研究者の会)は、今年5月3日の憲法記念日に際してマスコミが憲法改正に関する世論調査を実施したところ、改正する「必要なし」の回答が「必要あり」の回答を上回った好結果に触れながら、安保関連法廃止に向けた共闘の継続を訴えた。
「現在の安倍政権発足以降、皮肉にも憲法改正の『必要あり』とする世論が急激に下がっています。その一方で、安保関連法については、同法成立以降の世論調査において『反対』とする数値が下がってきています。また、内閣支持率は回復傾向にあるといった状況です。安保関連法の廃止と安倍政権を退陣に追い込むためには、これからの私たちの活動にかかっていることを常に意識し、共に頑張っていきましょう」
続いて、主催4団体の各代表者が登壇し、同じく連帯・共闘することの重要性を確認し合った。
「東北地方の首長の中には、選挙の際、自民党の支持や支援を受けて当選した方がいますが、そのような首長ですら『黙っていられない』との思いから、戦争法廃止を求める2000万署名や野党統一候補擁立を訴えています。そこでキーワードとなってくるのが、“地域と協同”です。各地域で様々な団体が市民と協同して署名活動を行ったり、参院選での闘いや安倍政権打倒に向けて協同して取り組んだりしています。こうした協同の取り組みに福島県9条の会も関わっていきたいと考えています」(福島県9条の会代表・吉原泰助さん)
「安倍首相は在任中の憲法改正に向け、夏の参院選で憲法改正を争点にすると明言し、戦争できる国作りを進める構えを強めています。私たちはこうした安倍政権に対抗していくため、『主権者は私たちであり、民主主義は私たちの手の中にある』ということを確認し合い、安倍政権の打倒を目指していきましょう」(憲法をいかす福島県民の会呼びかけ人代表・角田政志さん)
「福島県内での戦争法廃止を求める2000万署名の取り組みを通じて、多くの県民から『戦争反対』『平和と憲法9条を守ろう』との思いが寄せられています。それと同時に『安倍政権は怖い』『安倍政権は危険だ』との現政権に対する不信や怒りの声も多数に上っています。こうした県民の思いが安倍政権を追い込み、野党共闘につながってきているということを確信しています」(改憲阻止福島県連絡会・野木茂雄さん)
「私たち一人一人が政治や経済に対し、当事者として向き合い、自分たちの問題として考え、より良い社会を構築していこうとしなければ日本は変わらないと思います。相手を保守とか革新とかで色分けせず、安全で平和な社会を子どもや次の世代につなげていくため、力を合わせていきましょう」(安全保障関連法に反対する福島県大学・短期大学研究者の会・二瓶由美子さん)
<民進・共産・社民各党代表者の挨拶>
集会には、参院選福島選挙区における野党統一候補の増子輝彦氏(民進公認・現職)を含む野党3党の代表者が駆け付け、野党共闘への決意を語った。
「私が政治家を志したのは、『戦争のない社会を作りたい、国民の平和を守りたい』との思いがあったからです。そのためにも憲法9条を守るとの強い思いを持ち、これからも行動していかなければならないと考えています。福島県民全ての力を結集して参院選を闘い、福島県から安倍政権にストップをかけましょう」(民進党・増子輝彦参院議員)
「参院選に対して、福島県の野党3党は統一候補を擁立することで合意しました。多くの県民の後押しを受けて、福島県でも野党が共闘して安倍政権に対峙する構図が定まったことになります。安全保障関連法廃止、立憲主義の回復、そして安倍政権退陣に向け連帯していきましょう」(日本共産党福島県委員会・熊谷智常任委員)
「安倍政権が進める憲法改悪、格差といった問題をこのまま野放しにしておくことはできません。福島県で野党共闘が実現したということは、安倍政権の暴走を食い止めるための大きな力になります。参院選に向けて共に全力をもって闘っていきましょう」(社民党福島県連合会・小川右善代表)
<講演1「憲法改悪に抗して『戦後レジーム』を問いただす」>
講師を務めた東京大学大学院教授の高橋哲哉さんは、安倍政権が進める国内原発再稼働や海外への原発輸出の背景には“日本の核武装化”を目指す思惑があり、原発と安全保障は表裏一体の関係であるとして、日米安保体制の解消や日本の核武装化を阻止するためには“戦後レジーム”の転換を図っていく必要があると強調した。
「戦後の日本は憲法9条という明文規定を持ちながら、日米安保体制によって米軍が駐留する状態が続いています。世論調査では、憲法9条について『改正すべきでない』が多数であるにも関わらず、日米安保体制に関しては『支持する』が多数を占めるといった状況です。しかし、日米安保体制の根幹は、日本を米国の戦争に組み込むことであるという点を忘れてはいけません。私たちはこうした“戦後レジーム”を問い質し、日本が戦争しない国にしていかなければなりません」
<講演2「子どもの貧困」>
同じく講師を務めた弁護士の倉持惠さんは、「貧困家庭で育った子どもは、成人しても貧困状態に置かれたままである確率が高く、貧困の連鎖や貧困の再生産というスパイラルに陥っている」と説明した上で、“経済的徴兵制”の問題を指摘した。
「反戦や平和を訴える立場の人たちは、『貧困家庭で育ったからといって、若者が自衛隊に就職するのは勉強不足あるいは無知によるものだ』と考えてしまうかもしれません。しかし、そうした考えは、果たして若者の置かれた環境や心理をきちんと認識した上でのことなのでしょうか。もしかしたら、勉強不足や無知なのは、そういった若者の立場を理解しようとしない人たちなのかもしれません。そうした考えの違いを乗り越えていく努力をしていかなければ、貧困家庭の若者が行き着く先は“経済的徴兵制”になってしまうのではないでしょうか」
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集会終了後には参加者によるパレードが行われ、「戦争法反対!戦争法廃止!」「安倍政権の暴走止めよう」などのシュプレヒコールを上げながら道行く人々にアピールした。
約1か月後に迫る参院選福島選挙区の闘いに引き続き注目していきたい。(館山守)
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