2016年06月08日00時21分掲載  無料記事
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国際

ND米紙ウィークリーニュース第85号(June 6, 2016)

●目次● 
 
【米国は再び原子爆弾を投下するか?】5/19 WSJ 
Would the U.S. Drop the Bomb Again? 
 
【台湾・蔡新総統 感情的と中国が非難】NYT 5/25 
Tsai Ing-wen, Taiwan’s First Female Leader, Is Assailed in China for Being‘Emotional’ 
 
【沖縄女性遺棄事件 日米同盟の試金石となる】NYT 5/26 
Okinawa Murder Case Tests U.S.-Japan Ties Before Obama Visit 
 
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【米国は再び原子爆弾を投下するか?】5/19 WSJ 
Would the U.S. Drop the Bomb Again? 
 5月19日付のウォールストリートジャーナル紙は、オバマ米大統領の広島訪問について、スコット・セーガン氏、ベンジャミン・バレンチノ氏による論考を掲載した。 
 両氏は、広島訪問をめぐる政治家と評論家との激しい論争に対し「焦点が歴史的な狭い問題にしか当たっていない」とした上で、仮に同じような状況が生じた場合、今日のアメリカは核爆弾を落とすか否かについて疑問を投げかけている。 
 1945年9月に「Roper poll社」が調べた米国の世論調査によると、広島・長崎への原爆投下に対し、当時は全回答者の53%が賛同し、降伏前により多くの原爆を投下すべきだったという意見は23%に上ったという。 
 また、過疎地域に威嚇目的で使用するべきだったという意見は14%、一発たりとも投下すべきではなかったとの声は4%に過ぎなかった。 
 両氏は2015年7月、米国民840人を対象に同じ内容の世論調査を行った。それによると、原爆投下に賛成の声は28%に、降伏前により多くの原爆を投下すべきだったという意見は3%にまで減り、威嚇目的の使用を支持する人は32%に、原爆を投下すべきでなかったとの答えは15%に増えたとのことだ。 
 しかし両氏は、日米両国が現在は先の大戦下のような敵対関係には無いことなどを踏まえ、より正確な反応を調べるため、次の架空の設定を元に同月、620人に対し世論調査を行ったという。 
 米国が核合意違反を理由にイランへの経済制裁を再開したところ、イランは米空母を攻撃し、1941年の真珠湾攻撃時と同じく2403人が死亡した。米政府はイランの「無条件降伏」をとりつけるため、米兵2万人の犠牲が免れない地上軍の派遣を選ぶべきか、イランの市民10万人を巻き込むものの、米側には核攻撃の被害が出ないテヘラン付近の主要都市への核兵器投下を選ぶべきか。調査によると、核兵器使用に賛成する声は59%に上り、イラン側の犠牲を20倍の200万人に増やしてもこの数は変わらなかったという。 
 
【台湾・蔡新総統 感情的と中国が非難】NYT 5/25 
Tsai Ing-wen, Taiwan’s First Female Leader, Is Assailed in China for Being‘Emotional’ 
 5月25日付のNYタイムズ紙は、中国の人民解放軍系メディアが、台湾の蔡英文新総統の政治姿勢が極端で感情的なのは、彼女が独身であるからだとの記事を掲載したことを報じた。 
 このような記事の背景には、中国社会に、20代後半で独身の女性に対して見下す風潮があるからだと同紙は言う。 
 中国共産党は近年になって積極的に台湾民衆へ両岸統一のため働きかけを進めているが、蔡氏が当選したことによりその先行きが見えなくなっていた。今回、中国解放軍の高位の学者がこの記事を発表したことは、中国共産党の台湾への広報活動における重大な失敗に発展する可能性があると同紙は見ている。 
 
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